今、私たちの周りは空気がどんよりとしている…
あれから約10分後、無事にゴールすることが出来た
でも、精神的に限界…
乗りたいのは確かだけど、今はそんな気分じゃない
少し休憩をとりたい…
状況を察してくれた恵くんに、感謝
時間を計っていなかったなんて!!
あんなに怖い思いしたのに!
ショック…
でも、
恵くんと唯一の二人きりの時間だった
本当に嫌だったかと言われたら…嘘になる
場所がお化け屋敷というのがキズだけど、二人きりになれる時間があったのは正直言って、嬉しい
結果、よかった、のかもしれない…
五条先生がいなくなり、近くのベンチに座った
はぁ…と疲れを吐き出すようにため息をつく
それと同時に、中で起こった出来事がよみがえってきた
優しく声をかけてくれて
転びそうになったときとっさに支えてくれて
さらには、手まで繋いでしまった
…こんなにドキドキしたこと、今まであったかな?
実はさっきからずっと心臓のドキドキが止まらない
恐怖の余韻もそうだけど、恵くんの影響が大きい
向こうから手を繋いでくるなんて、思ってもみなかったな…
しばらく考え込んでいたので、心配されてしまった
しばらく休んで恵くんが立ち上がった
いつも通りの恵くんだ
…
さっきのがなかったみたいに、恵くんの態度がいつも通りで
なんだかちょっと、もやっとする
もやもやした気持ちのまま、立ち上がる
なんだろう…このスッキリしない気持ち…?
そう、今私は鈴奈ちゃんに電話をかけている
この気持ちの正体を暴くために、鈴奈ちゃんに聞いた方が早いと思ったから
私は富士Pでの出来事を話した
確かに、態度が違うのには引っかかったけど…
しばらく話してから電話を切った
期待、かぁ…
私は一体何を期待しているんだろう…??
遅れてしまい、大変申し訳ございません。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!