自殺予告により荒れ狂ったネットの海に、
またスイが現れた。
コメント一つ一つにリスナーの感情が滲み、
伝わってくる。
流れるコメントの海を嬉しそうに目で追っていく。
困惑、怒り、恐怖、逃避、様々なリスナーの様子を
感じ取れる。
ふと同接数に目が行けば、同接数10万の数字が
見えた。
珍しい、その程度に考えた。
普段の同接数はピーク時間でも数万程度。二桁万は
心底珍しい。
ましてや朝。
ネットの人間なんて今の時間はほとんどが寝ていて、
この時間帯は数千いれば良いほうだろう。
リスナーとこのライバーの温度は天地ほどの差が
あった。
この配信を見ているであろうリスナーたちは今、
現実を受け止めきれず、必死にこれが現実ではない
証拠を探しているはずなのに。
当の本人は何を考えているのか。
配信上に乗る彼はひどく笑顔だった。
この数年の中で最も清々しく見えた。
声色は優しさそのものなのに、リスナーに現実を
突きつける鋭い一言だった。
その言葉が落ちた瞬間、わずかにコメントが止む。
いつもと変わらない声色でなんでもないことの
ように衝撃的な言葉が次々と落ちていく。
その間もスイの表情も声色も変わらない。
コメント欄にふと見覚えのある名前が通り過ぎた。
マウスを掴んでコメントを遡るようにスクロールを
していく。
見間違いじゃなければ、あの人が見に来ていた。
現在、2026/08/31/06:00。
残り、18時間。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。