ドカおも翠
こんこん、ガチャ
強くも弱くもない力で、木目を叩く。
これは毎日の習慣で、俺にとってはかけがえのないものだった。
部屋にいるのは虚ろな目をした君
毎日俺の姿を見るたび、嬉しそうな それでいて会いたくなかったような顔で表情を変える
人のことを一番に考えてあげられるような君だから、俺が君の世話に辟易していると思っているんだろう
ずっと寝ているはずなのに、消えることがない鮮やかな目の下の隈。
でも今日はいつもより体調がよさそうで、散歩がいいかな と静かに心を弾ませる
ずっと俺に申し訳なさそうな顔をして、かわいい人。
少し前、みことちゃんは 今までにないくらいバッドに入っていた。
根はポジティブな彼がそこまで落ち込むのは初めて見たから、かなりの衝撃を受けた気がする
そこに俺は、漬け込んだ。
ごめん、ごめん、ごめん。
みことちゃんは最近謝ってばかり
謝ることなんて、ないんだけどなあ なんて呑気に考える
だって、とってもかわいいんだもの
かわいいかわいい、俺のみこちゃん。
君の願いを、俺は優しく殺す。
君の思いを、少しずつ折る。
一生懸命書き上げたエンドロールを、丁寧に、丁寧に
塗りつぶし、書き換え、無理やり引き伸ばす
かわいいね、って言うと 君はあんまり嬉しくなさそうに笑う
そんなところも、かわいい
かわいい、かわいい、かわいい
何回言っても足りないや 。
もっともっと、伝えないと。伝えてあげないと。
かわいい かわいいよ かわいいね ずっとかわいい
かわいいね、みこちゃん












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!