第29話

覚悟
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2025/05/29 09:27 更新






ストヘス区、風は冷たく、空気を張りつめている。



遠く、建物の向こうに響く咆哮。
地鳴り。爆風。崩れる石畳。



それは作戦が失敗したと知らせていた。


︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
ここから外には行かせんッ!!!
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
俺たちでここを死守する!!!



大声を上げる兵士たち。
彼らは次々と殺られていく。


ジャン・キルシュタイン
あなた!!!
あなた
ジャンッ!!
ジャン・キルシュタイン
こっちだッ!こっちにエレンとアルミンがいる!


立体機動を使い、空を舞い、瓦礫の中で倒れている
エレンを見つける。そしてその隣にはアルミンが。

アルミン・アルレルト
エレン!返事して!
アルミン・アルレルト
エレン!
ジャン・キルシュタイン
おい!何やってんだよ!
アルミン・アルレルト
ジャン!あなた!エレンがこの下に!
ジャン・キルシュタイン
はあ!作戦じゃ巨人になるはずだったろ!
アルミン・アルレルト
出来なかったんだ!
アルミン・アルレルト
多分、女型の正体がアニだったのがブレーキになって!
ジャン・キルシュタイン
なに!?
アルミン・アルレルト
とにかく助け出さないと!
アルミン・アルレルト
手を貸して!


私とアルミンは瓦礫を持ち上げようとする。
しかし、ジャンは中々動かなかった。


ジャン・キルシュタイン
出来なかった…?
ジャン・キルシュタイン
エレンお前ふざけんなよ!
ジャン・キルシュタイン
いつかお前に頼むって言ったはずだよな!
ジャン・キルシュタイン
お前なんかに世界や人類や
ジャン・キルシュタイン
自分の命を預けなきゃなんねえ俺たちへの見返りがこれかよ!
ジャン・キルシュタイン
マルコ…マルコはなあ…
ジャン・キルシュタイン
クソッ!
あなた
…っ


痛いほどエレンの気持ちが分かる。
でもここでアニを止めなきゃ大勢の人が死ぬ。

アルミン・アルレルト
ッぐ!!!!


轟音とともに建物の瓦礫と破片が飛んでくる。
咄嗟に交わしたものの、地面に叩きつけられる。

アルミン・アルレルト
エレン…
ジャン・キルシュタイン
ダメだ…
あなた
先に女型を何とかしないと!!
アルミン・アルレルト
エレン、前にジャンに言ったことがあるんだ
アルミン・アルレルト
何も捨てることが出来ない人には、何も変えることはできない
アルミン・アルレルト
化け物を凌ぐために必要なら人間性さえ捨てる
アルミン・アルレルト
きっとアニは それができる
アルミン・アルレルト
何のためかは分からないけど、でも─
アルミン・アルレルト
それが出来るものが勝つ!


私はずっと敗者なのかもしれない。
私に誰かの命を奪ってでも、勝利出来るとは思えない。


アニはそれができる。
アルミンもその覚悟はある。


エレンはどっちなの?



アルミン・アルレルト
アニ!
アルミン・アルレルト
今度こそ僕を殺さなきゃ、”賭けたのはここからだ”なんて負け惜しみも言えなくなるぞ!

アルミンに目を向けるアニ。
その隙に、私とジャンは攻撃を仕掛ける。




チャキンッ────!!!


硬化した!!!!



ジャン・キルシュタイン
アルミン こっちだ!
アルミン・アルレルト
了解!



狙いは女型を罠がある所まで誘導することだ。
私にはきっとアンタを殺せないから。


大人しく捕らえられて、そして話をしよう。





地面が揺れて、私たちを女型は追いかけてくる。



ここだ─────!

ジャン・キルシュタイン
ッ!!
アルミン・アルレルト
うぅっ!!
あなた
ぐっ、!!!


強烈な風に思わずバランスを崩す。



女型は後ろへと倒れる。






ジャン・キルシュタイン
おいあなた!!


黙って突っ立っていられるものじゃなかった。
一声くらい掛けさせてほしい。


ハンジ・ゾエ
よ〜し!
ハンジ・ゾエ
3次作戦なんて出番はないと思ってたけど、とんでもない
ハンジ・ゾエ
さすがは エルヴィン団長ってとこか
あなた
アニっ…!!


ハンジさんの言葉を遮るように
私はアニの目の間に駆け寄る。


大きな目玉がこちらを見つめる。

あなた
なんで私を避けたの!
あなた
なんで私を殺さなかったの…!!!
あなた
アンタが私を殺さなかったから、私はアンタしかいないって思ったんだよ…
あなた
アニ…!!!


何も動じない、けど微かに瞳が揺れた気がした。

あなた
私が馬鹿だからきっと、都合のいい捉え方かもしれないけど、そっちにもなにか事情があるって信じてるから…
あなた
だから、大人しく捕まってよ…アニ───。


彼女の目が再び揺れた。
そして少し悲しげな顔をした。
ごめん無理だよって言うように。
あなた
…アニッ、!!!
ハンジ・ゾエ
あなた、下がって
あなた
や……


突如後ろから腕を掴まれる。

あなた
…!


ミカサだ。

あなた
ミカサ…っ
ハンジ・ゾエ
いい子だから、大人しくするんだ
ハンジ・ゾエ
ここじゃ、この間みたいに、お前を食い尽くす巨人も呼べない
ハンジ・ゾエ
でも大丈夫
ハンジ・ゾエ
代わりに私が食ってあげるよ
ハンジ・ゾエ
お前からほじくり返した情報をね



ゴゴゴゴゴッ───!!!
アニの足が突如振るわれる。



兵士たちは途端に建物の上に避難する。
私はミカサに抱き抱えられて屋根の上へと。

ハンジ・ゾエ
チッ…流石に罠の数が足りなかったか
ハンジ・ゾエ
逃がすな!追え!
ミカサ・アッカーマン
あなた、アニに酷いことをする覚悟が無いなら、そこで大人しくして
あなた
できるよ…できる、


未熟なのは私だけ。
ミカサもアルミンもジャンもみんな覚悟出来てる。

ミカサ・アッカーマン
さっきみたいに貴方が躊躇して足を引っ張れば今度こそ、大勢の人が死ぬ


ペトラさんもオルオさんもエルドさんもグンダさんも。






みんなみんな死んだ。













トワだって。
















あなた
アニに聞きたい、なんでこんなことしたのって…
あなた
だからやる…
ミカサ・アッカーマン
うん


立ち上がって、
刃を握る。




本当はこんなことしたくないけど、
でも、もう、誰にも死んで欲しくない。


そのために、アンタを捕まえる。












アンタの体を裂いても、なんとしてでも。











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