船長が部屋を出ると、待ち構えていたように先程の女性が入ってくる。
誰が言い出したのかラノベくさい自分の肩書きに改めて苦笑する。魔法使いだなんて呼べるほど私は大した人間ではないのに。
それにも構わず目の前の可愛らしい人は目を輝かせて顔を覗き込んでくる。
そういって首元に伸ばされた手を反射的に振り払ってしまった。
やってしまった。完全に。まだ敵の素性も分からないのに下手な行動を取ってしまった。咄嗟にごめんなさいと謝罪の声が漏れ、思わず俯く。しばらく無音の時間が流れ、私は顔を上げ恐る恐る彼女の反応を伺う。
そう明るく話す彼女の笑顔は少しぎこちなかった。傷付けるつもりではなかったのに。
ここで誘いに乗らないのもなんだかなという感じだったので、取り敢えず着いて外に行ってみることにした。
彼女の嬉しそうな視線を背中に感じながらベッドから立ち上がり自分の体と向き合うと、改めていつ殺されていてもおかしくなかったのだなと思い、体重を支える足に思わず力が入る。
部屋を出て声のする方に目を向けると、そこに広がるは青い海と数多の人々。
と口先では返事をするものの、目に染みる青さにめまいがする。
私の顔をちらりとみて眉間の皺を凝視したのち、顔色と機嫌の悪さを感じ取ったのか部屋に入るよう促される。そのまま食堂の様な場所へ入ると、そこには数人の船員がいた。
部屋のドアを閉めた音でそこにいた3人が一斉にこちらに目を向けた。
ドタドタと駆け寄ってくる屈強な大男たち(1匹を除く)に思わず1歩後ずさってしまう。海賊だから全員鍛えられた体で強そう。
私が何か問う前に、目の前の騒がしい3人が自己紹介をする。シャチの帽子にサングラスをしていて人一倍騒がしい人がシャチというらしい。中央にいる落ち着いたイケメン風のPENGUINと書かれた帽子を深く被っている人がペンギン、その大きさに似合わない可愛い顔と声をしているのがベポと名乗っている。
一応ここは礼儀として自己紹介しておくべきか…?












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!