第2話

▽入学
113
2018/05/03 12:51
諸星 煌(こう)
諸星煌(もろほしこう)です。よろしくお願いします。
私はそうクラスの前で挨拶をした。
入学式はあったものの、ほとんどの生徒は幼稚部からのエスカレーター。
いまさら、自己紹介の必要などない。
そのため、私だけが自己紹介をした。
先生
一応、特待生ですので、仲良くしてあげてください。
先生はそう言って教室を出た。
私は指定された席に着いたが、全く落ち着かない。
初めて袖を通したこの緑色のブレザーもまだ、着心地が悪い。
胸元のリボンも、白いシャツも、黒いプリーツスカートも全然、似合ってないんじゃないか。
そういうふうにしか今は思えない。
九 薺月(なつき)
諸星さん?こんにちは、私、九薺月(いちじく なつき)と申します。
諸星 煌(こう)
こんにちは。
話しかけてくれたのは、九さん。
九 薺月(なつき)
煌さんとお呼びしてもよろしいですか?
諸星 煌(こう)
ぜひぜひ!お願いします。
九 薺月(なつき)
私のことも薺月とお呼びください。
薺月はそう言ってくれた。
嬉しかった。
ただただ、嬉しかった。
薺月のおかげで気がだいぶ楽になった。
その後、課題テストを受け、昼になって皆は食堂という名のカフェテラスにむかう。
九 薺月(なつき)
ほら、煌さんも行きましょう。
私は薺月に言われるがまま、カフェテラスへ向かった。
諸星 煌(こう)
うわ、高っ!
カフェテラスのメニュを見るが普段はありえない金額のメニューが並ぶ。
もちろん、ここで食べるつもりで来たんだけど、食べるものは弁当だ。
九 薺月(なつき)
煌さん?好きなものを選んでください。今日は私がご馳走します。
諸星 煌(こう)
いや、それは…
生徒
キャー!MALよ!
黄色い歓声の方へ目を向けると、男子生徒が4人。
みな、私たちとは違うグレーのシャツを来ている。
諸星 煌(こう)
誰?MALって?
九 薺月(なつき)
そうですね。説明します。MALとは真光absolute(絶対的な)leaderの略です。
諸星 煌(こう)
ってことは、生徒会的な?
九 薺月(なつき)
そうです。選ばれる基準はその年それぞれですが、3~6人の生徒が毎年選ばれます。
さらに薺月は詳しく説明してくれた。
今の4人は小さい頃からの幼なじみ。
1人目は、漣優我(さざなみ ゆうが)。
成績はいつもトップとのこと。

続いて、御縁葉酉(みえにし はとり)。
有名な花道の跡取りだそう。

次は、呉羽蓮(くれは れん)。
唯一の3年生でこの4人のリーダーを務めるらしい。

最後に壬生薫(みぶ かおる)
大学病院の医院長の次男だそう。

漣、御縁、壬生の3人は1年生らしい。
漣グループも御縁家も呉羽ホールディングスも壬生大学病院もテレビやニュースで見たことある。
そんな人達がここにいるのか…。
壬生 薫(かおる)
薺月!来いよ。
九 薺月(なつき)
はい。もちろんです。
薺月は壬生さんに言われるがままMAL専用の個室に入っていった。
後で聞いた話、薺月は壬生さんの婚約者らしい。
でも何となく、いいなって思った自分がいた。

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