夢だ。なんという悪夢なのだろう。初めて、夢を怖いと感じた。
覚めたとき、あさの規則正しい寝息に、これ以上ないほど安心した。
あさに言われて、ようやく、頬に水滴がつたってることに気がつく。
あさは、私に寄り添うようにして窓を指さした。窓の外の世界は、辺り一面茜色に染まっていた。
朝焼けとは似ているようで違う、この美しい景色はたしか……。
昼の終わりと、夜の始まりを告げる茜色があさの横顔を照らす。
あさから一番遠い時間が訪れてしまう切なさと、あさと一緒に今日の夜空を見られる喜びを全部混ぜたような光だ。
そう言って、あさに口付けをする。
あさ、私は本当に、あさと見る空が大好き。一度しか見られなかったけど、この時も、今も、ずっと好き。
あさは今、どうしているかな。
元気でいるかな。
笑顔は枯れてないかな。
ほかの人を深く深く愛して、幸せに、この空を愛せているかな。
だけどできれば、たまに、たまにでいいから、私のことを思い出してくれないかな。
あさが思い出してくれた時、きっと私は、あさを幸せにする何かに、生まれ変われる。

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!