《スンミンside》
猫のようにふらりと出かけていつの間にか宿舎に帰ってきたリノヒョンの耳をふと見るとピアスが増えていて、ヒョンの口元は緩んで喜びが滲み出てる
この間リノヒョンと休みが合ったから一緒に買い物に出かけた日、ふと入ったアクセサリーショップが僕達の好みに刺さった
こじんまりしたその店舗は静かに音楽が流れていて
店員さんは1人、しかも声をかけてくることなく僕らをそっとしておいてくれたからゆっくり見ることが出来た
とても気に入ったデザインのネックレスを見つけて……でもそこに並べられているのはゴールドだけで
僕はシルバーのほうが好きだから店員さんに聞いてみたら入荷はあるからと探してくれたけどすぐに見つからなくて……
見つけたら連絡をもらうようにした
家に帰った頃、「ネックレスが見つかりました」と連絡が来てまた取りに行くことにした
特に用がなくても行きたくなるような、実家みたいに落ち着く気持ちになるような、不思議な空間だった
そして、その店員さんの声がとても耳に馴染んで心地よかった
またリノヒョンと一緒に行こうかと思ってたのにな
先に行っちゃったのか…なんか先越された感じでモヤモヤする
拗ねてる、とかではない
僕も1人でゆっくりあのお店に行きたいだけ、リノヒョンばっかりずるいでしょ?
……受け取りに行くの早めようかな
明日仕事とボイトレの後なら…行けそう
電話をしてみると、明日もお店は開けてるからどうぞって言ってもらえたから行くことにした
思ったよりもボイトレに熱が入ってしまい、うっかり出ようとしていた時間を過ぎてしまった
急いで車を走らせてるけど…ギリギリ間に合うかどうかだな
道が混んでいて結局到着したのは閉店時間5分後…
あー、ダメだ、間に合わなかった……
お店のドアにかかっている「Closed」の看板を見てがっくりとした
再び駐車場に戻ろうとすると、カランとベルが鳴りドアが開いて店員さんが顔を覗かせ僕に笑顔を向けた
店員さんの笑顔と安らぐ声に肩の力が抜けて、僕の仕事モードが一気にオフになった
促されるまま店内にお邪魔する
もう閉店準備は終わってるみたいで、外にあった看板も片付けられていた
カウンターにはトレーの上に載せられている僕のお目当てのネックレス
ケースから出して再びネックレスがトレーに置かれた
ワクワクしながらネックレスを付けてみようとしてるんだけど……
あれ、金具……付けられない
ネックレスのパーツに苦戦していると、僕の手に店員さんの手が重なった
一瞬、ぐっと近づいた距離
ふわりと店員さんの纏う空気を吸い込んで、ドキッとした
目の前に出された鏡
ネックレスよりも先に、頬を染めている自分が目に入る
なんて言うだらしない顔なんだ……
ぎゅっと顔を作り、「これ、このまま着けて行っていいですか?」と店員さんに聞いてみる
もちろんです、と言う店員さんの笑顔につられて僕の顔も緩む
本当に癒されるんだよね、不思議だな…













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!