らっだぁside
失血がひどい。
目の前が霞む。
だが、それは相手も同じだ。
二人共、満身創痍だ。
それでも俺は、気力だけで直刀を構え直した。
その時。
コネシマとシャオロンが、ゾムの隣に降りてきた。
…参ったな、これ以上は厳しいんだが。
いきなり、ゾムが二人を背後に投げ飛ばした。
俺は体制を整え、ゾムを真正面から見た。
言った瞬間、ゾムの顔がパッと輝いた。
そして、俺達は同時に地を蹴った。
お互い、目の前の相手にだけ集中して。
ハルバートが、俺の腹を貫き。
直刀が、ゾムの首筋に叩きつけられた。
ゾムは悔しそうな…それでいて満足した様な顔で、地面に倒れ込んだ。
俺も、もう限界だった様だ。
直刀が手から零れて、身体がぐらりと傾く。
誰かに後ろから抱き留められたと感じた後、俺は意識を手放した。
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スマイルside
俺は村の村長に向かって頭を下げた。
村長は難しい顔で腕を組んだ。
そう、この方法しかないんだ。
何としてでも、この人を説得しなければならない。
…以前から、伝説の傭兵ペアの本はよく読んでいた。
彼らに憧れて、幼馴染の六人で旅に出た。
やっと会うことが出来たんだ、彼らの役に立ちたい…!
村長は机の引き出しから、一枚の羊皮紙を取り出した。
らだ運営のサインと、村長のものと思しきサインが書かれている。
…依頼書だ。
俺はもう一度頭を下げた。
待っててくれ、みんな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!