遠く離れたビルの屋上から、
朝焼けに染まる街を見下ろしていた
冷たい朝風が頬を撫でる
視線の先、小さな公園のベンチには、
ふたりの影があった
あの日、俺の手で冷たく突き放し、
地面へと叩き落としてしまったはずの、
傷ついたツバメ
浮かべている表情は、暗闇の底で震えていた頃のそれじゃない
眩しいほどの光を受けながら、
もう一度前をむこうとする、
あたたかな瞳だった
溢れそうになった言葉を、
風の中に溶かすように呟く
本当なら、俺がその手をとってやりたかった
本当なら、俺が隣でずっとその笑顔を見ていたかった
けれど、血の硝煙に塗れた俺の傍に置いておくことこそが、
あいつの命を脅かす最大の毒だった
だから、悪者になる道を選んだ
冷酷な言葉であいつの翼を折り、
この暗い世界から追い出した
あいつに恨まれ、拒絶されることでしか
あの命を守るすべを知らなかったから
雲雀があいつの手をとり、歩き出す
その背中は真っすぐで、
太陽のように温かい風を纏っていた
あいつなら、俺が奪ってしまった空を、
もう一度見せてくれる
背を向け、
影の中に消えていきながら、
俺は静かに目を閉じた
❥⋯NEXT











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。