このままだと私以外…あの2人にも被害が及ぶ。
そう思い、震える唇をなんとか動かしてこう言った。
そう呟く。
そう笑いながらペルヴィは振り返った。
ペルヴィは紅茶を混ぜながらそう問いかける。
その紅茶に映るペルヴィの目は全く笑っていなかった。
嘘はついていない。
嬉しいとは思わなかった。一度も思っていない。
…怒ってるのかどうか分からない…。
けど、少なくともさっきよりは話せる。
その一言でまた空気が重くなる。
早く答えないといけないはずなのに、
どうも答えが出ない。
そもそも、何が悪かったんだろうか。
5…か、
あの2人は悪くない。…なら私が悪いはず。
私のどこが悪かったの?
…あれは単なる事故だった。だから…
…何かが割れる音が響いた。
見ればティーカップが割れている。
…あと5つ、
…どこで間違えたんだろう。
…何をして怒らせたんだろう…、
いや、怒らせた行動はあの事故…。
…あの事故の私の対応が悪かった…?
…あれ受け入れてしまった事が悪かったのか。
…ああ、分かった。
…此処で答えられなかったら二度と話せない。
喉に当たるカップの破片を見れば分かる。
ただ、怒っている理由を知るとこの行動が可愛く思えてきた。
少しムッとした表情でこっちを見るペルヴィ。
その顔が可愛い。
行動ですら可愛い今、ペルヴィが作り出したこの空気ですら愛おしく思えてしまう。
ペルヴィの髪を耳にかけながらそう言うと、
心なしかペルヴィの表情も柔らかくなる。
どの時点で嫉妬させたのかは分からない。
手当からか?あの事故からか?
それとも、最初からか。
けど、結局はこれが理由なんだろう。
そう言った次の瞬間、
ティーカップの破片は喉を離れた。
ペルヴィが私に怒る理由は片手で数えるほどしかない。
ペルヴィを嫉妬させた時、アルレッキーノと呼んだ時…まあそんなところだ。
…ペルヴィに殺されるのも悪くはない。
他の誰かに殺されるよりも良い。
かちゃかちゃとカップを片付けながら呟くペルヴィ。
怖すぎて忘れてたけど…
確かに茶葉を取りに来たんだった。
そう指されたのはペルヴィの視界内にある席。
どこにも行かないように監視するとでもいうように、
そこを指定される。
…大人しく座っておこう。
紅茶を淹れる間もチラチラとこっちを見てくる。
溢れそうになる笑みを必死に隠しながら、
紅茶を淹れる様子を眺める。
…そう。
私達は色んな人を受け入れる。
けど、君も私も受け入れてくれるのはお互いだけ。
熱い紅茶が喉を流れているうちは、
怖いものなんて無い。
君が…ペルヴィが受け入れてくれているから。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!