第13話

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2025/05/09 19:58 更新





そんな私とナヒーダちゃんのやりとりを向かいの席で見ていた放浪者くんは、小さくため息をついてカップをそっと置いた



放浪者
……はあ、2人でお喋りは楽しかったかい?



その言葉には少し呆れたようなトーンが混じっているのがわかる



あなた
え、う、うん……?



急に話を振られて少し動揺してしまう私に、放浪者くんは目を逸らしながら小さくつぶやく



放浪者
…別に、気にしてなんかないけど



あなた
え?



放浪者
ただ君の分の紅茶が冷めるのはもったいないと思っただけだ



それだけ言うと彼はそっぽを向いて口を閉ざした


そんな様子を見たナヒーダちゃんは、紅茶を一口飲んでからくすっと口元を手で隠して笑った




ナヒーダ
ふふ…ほんと、素直じゃないんだから




その言葉に放浪者くんはピクリと眉を動かしたけど、返す言葉はなかった




あなた
ええっと…?




わたしが小さく問いかけると、ナヒーダちゃんはいたずらっぽく目を細める




ナヒーダ
ううん、なんでもないの

ナヒーダ
でも、もっとわかりやすく気にかけてくれたら…いいのにね?




わざとらしくそう言って、また一口紅茶を飲むナヒーダちゃん


放浪者くんは完全に無言になってそっぽを向いた



放浪者
…茶会か何だか知らないけど、君たちの空気に巻き込まれるのは御免だ





放浪者くんは何も言わず椅子に沈み込んだけど、その耳だけが正直に色づいてた気がした





ナヒーダ
ふふっ、それじゃあ…2人ともいい雰囲気になってきたところで

ナヒーダ
そろそろ本題に入りましょうか?




そう言ってにっこり笑うナヒーダちゃんの声に、放浪者くんは顔をしかめながらも渋々こちらに向き直る



放浪者
君の“お茶会”が 早く終わることを願うよ


あなた
うん、そうだね…あ、でも

あなた
そういえば散兵さんは…?



ナヒーダ
ええ、彼なら今__



その言葉を言い終えるより早く、静寂を破るように扉が軋む音が響いた


木の床が軋むたびに空気が少し震え、私たちは反射的にそちらへ顔を向ける



散兵
話は途中から聞かせてもらったよ



放浪者
……来たのか



散兵
呼ばれた覚えはないけどね、ただ気配で察しただけさ



ナヒーダ
あら、来てくれて嬉しいわ

ナヒーダ
ちょうどあなたのことを話そうとしていたのよ



散兵
…そうみたいだね




すると、彼の視線がかすかに自分に向いた気がして思わず肩がピクッと動いてしまった



あなた
えっと、なに…?



散兵
……いいや、何でもない



散兵
ただ、君ってホント…隙だらけだなって思っただけ



あなた
い、いきなりだね…



放浪者
……おい、話を逸らすな




散兵の視線が私をからかうように細められたその瞬間、放浪者くんの目がじわっと鋭さを増して、口元だけがわずかに動いた




散兵
少し揶揄っただけで噛みつくなんて、ちょっと過保護すぎじゃないかい?



放浪者
…うるさい、黙ってろ




その言い方はあくまで淡々としてるのに、明らかに言葉の奥に熱がこもってて散兵がふっと笑う



放浪者
いいか、言葉の端に何を込めようが勝手だが

放浪者
僕の前で彼女を玩具みたいに扱うな




散兵
ふぅん…じゃあ逆に君はどんなつもりで“見てる”のさ




一歩詰める散兵とそれを避けずに受ける放浪者くん…睨み合うような距離で、どちらも引く気配はない…




そんな2人の間にピリピリとした火花が飛び交う中、ナヒーダちゃんがふわりとした足取りでそっと間に入ってきた




ナヒーダ
二人とも…今は責めるために集まってるんじゃないわ

ナヒーダ
どうしてこんな地脈異常が起こってるのか、それを一緒に探るためでしょう?




ナヒーダちゃんは小さくため息をついて、やんわりと微笑みながら私に目を向けた



ナヒーダ
ごめんなさいね、あまり気にしないであげて



あなた
いやいや…!大丈夫だよ

あなた
でも、あの二人…すごく似てるのにどうしてこんなに噛み合わないんだろうね…?




私の言葉にナヒーダちゃんは小さく笑って頷くように言った



ナヒーダ
2人とも、似てるからこそぶつかっちゃうのかもしれないわね








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