大西side
大ちゃんと僕は昨日東京から帰って来た。
長旅だったし、知らない街で2人で旅行っていうのも初めてだったから、お互い疲れたのか、昨日はほぼ初めて、それぞれの部屋で眠った。
僕はなかなか寝付けなかった。
隣にいつもいるはずの人がいないだけで、気づいたら0時を回っていた。
「もう寝なきゃ」
そう思って目を閉じても、瞼の裏に映るのは大ちゃんだった。
目の下にはクマがあって浮腫んでて、、なんて状態で好きな人に会いたくない。
いつだって、可愛いって思ってもらいたい。言ってもらいたい。
それが僕の、一番可愛くなれる方法だから。
結局予想は当たって、黒マスクにメガネに寝坊してセットする時間がなかった髪を隠すためのキャップをかぶって、不審者みたいになってしまった。
「何かあったん?」と言われるほかないだろう。
それがびっくり、玄関のドアを開けて一歩出ると、目の前には僕と似たような格好をした“多分”大ちゃんが立っていた。
でも、、
僕が東京に行ったら、慣れていたこのマンションともお別れ、もちろん、居心地の良かった5人とも、
大ちゃんとも……。
こんなんで東京で一人暮らしなんて出来るのかな。
この声も、電話でしか聞けない。
仕事が始まったら、会える回数だって少なくなるし、、
悲しいけど、その未来を想像して嬉しそうな、幸せそうな顔だった。
大ちゃんが嬉しいなら、僕も嬉しい。
僕が悲しかったら、大ちゃんも悲しい。
たくさんの感情を分け合って、僕たちは2人としても成長して来た。
だからこそ、今度は1人で。そしたら、2人で。
やっぱり大ちゃんは僕よりちょっと大人な考え方を持ってるな。
でもだからと言って僕も大人になろうとかじゃない。
ずっと、このバランスで僕たちは2人でいれたから。
「ありがとう」
なんかお別れみたいな感じがして、声には出さなかった。
正直、出せなかった。
感謝の気持ちは思った時に言ったほうがいいんだろうけど、今言うのは少し違うと思った。
喉が熱くなる感覚がして、やめた。
メガネとマスクの間から見える大ちゃんの顔と反応を見て、きっと伝わったんだろうなって思った。
僕が何を伝えたかったのか。何を思っているのか。
大ちゃんが車を止めた瞬間に、抱きついた。
それに大ちゃんも抱きしめ返してくれた。
ほんとに数秒だったけど、優しくて、あったかい時間だった。
大ちゃん、離れてても、心も想いも、ひとつやよ。
外から見えてたらしい5人に尋問されたのはまた別の話。
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最後まで読んでいただきありがとうございました!🐶












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!