手、顔、と視線を泳がせるちぐちゃん。
別に大したことはしていない
俺の右手とちぐちゃんの左手を
絡ませて、ぎゅっと握っただけだ。
俺の手を握り返して笑っている。
可愛いし、その仕草もすごく好きだけど
俺が感じた緊張も動揺も、
ちぐちゃんはほぼ感じていないみたい
なんでだろう、やっぱりずるい人。
ちょっとした気遣いも大事だ。
せめて俺の好感度だけでも上げてやる (
ちぐちゃんから買い物袋を受け取ろうと、
右手は塞がっているため左手を差し出す
すると、足元がおぼついたのか
体制を崩し倒れ込もうとしていた。
繋いだままの手を軽く引っ張り、
左手でちぐちゃんの体を自分の方へ抱き寄せた
そのため、転ぶことはなかった。
そう言い、腕の中にいるちぐちゃんの
顔を覗き込もうとすると
( ドンッ
弱い力で体を押されると同時に、
握っていた手をほどかれる
急なことで混乱しながらも、
そっぽを向くちぐちゃんに声をかけると
くるりとこちらに向き直し
と一言。
顔は真っ赤で、少し目を伏せていて
可愛い、なんかじゃ
言い表せない感情が自分にぶつかって
迷子になってよかった…なんて。
一瞬で目を逸らされ、
俺の前から離れて行ったけど
悲しいなんて思わなくて
これが照れ隠しなんだって、
さっきの表情を見ればすぐ分かることで
その日はずっと、良い気分に浸れた。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。