第5話

第四話
36
2026/02/11 09:00 更新










   目が、話せなかった

 

   街灯の下、今にも折れそうなほど
   細い肩を丸めて歩く、彼から。




   
あなた
(.....大丈夫かな、あの人 ) 



   フラフラと覚束ない足取り。


   画面を見つめる瞳は焦点が合わず


   まるで、魂の半分が
   どこかへ行ってしまっているみたいだ。





   放っておけなくて、

   私は、ふわりと
   影をなぞるように彼の後を追った。













   夜の闇を裂く、赤い光

   信号が変わる

   止まらなきゃいけない





  



   なのに、彼は



   赤く灯ったばかりの信号に気づかないのか


   横断歩道へ吸い込まれるように

   一歩、足を踏み出そうとした。





   その先に待つのは、

   死神の迎えに他ならないのに__









   大型のトラックのヘッドライトが

   その人の横顔を白く照らし出す。




 

  





   轟音___



 


kzh
...あ



   小さい悲鳴のような音もかき消されて













   ヒュッ、



   喉が鳴った。





脳裏をよぎったのは





   いつかのあの日__



  


   冷たい、
   私の世界を終わらせた感触とその記憶








あなた
  ...だめっ!!  






   気づけば

   弾かれたように手を伸ばしていた。






   その瞬間、私の頭からは



   「自分が幽霊であること」も

   「誰にも届かない」ことも、全部消えていた






   ただ、誰にも届くはずのない声が



   夜の空気を震わせた。




























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