目が、話せなかった
街灯の下、今にも折れそうなほど
細い肩を丸めて歩く、彼から。
フラフラと覚束ない足取り。
画面を見つめる瞳は焦点が合わず
まるで、魂の半分が
どこかへ行ってしまっているみたいだ。
放っておけなくて、
私は、ふわりと
影をなぞるように彼の後を追った。
夜の闇を裂く、赤い光
信号が変わる
止まらなきゃいけない
なのに、彼は
赤く灯ったばかりの信号に気づかないのか
横断歩道へ吸い込まれるように
一歩、足を踏み出そうとした。
その先に待つのは、
死神の迎えに他ならないのに__
大型のトラックのヘッドライトが
その人の横顔を白く照らし出す。
轟音___
小さい悲鳴のような音もかき消されて
ヒュッ、
喉が鳴った。
脳裏をよぎったのは
いつかのあの日__
冷たい、
私の世界を終わらせた感触とその記憶
気づけば
弾かれたように手を伸ばしていた。
その瞬間、私の頭からは
「自分が幽霊であること」も
「誰にも届かない」ことも、全部消えていた
ただ、誰にも届くはずのない声が
夜の空気を震わせた。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。