スタジオの鏡の前に立って、メンバーと並んだ
本番が近づいているせいか、練習にも自然と熱が入る
シヴァさん の掛け声で音楽が流れ、
みんな一斉に動き出す
リズムに合わせて体を動かすのは楽しい
けど …… 息がすぐに乱れる
胸の奥が焼けるように熱くて、吸う空気が足りない
必死に笑顔を作りながら動きを続ける
みんなが必死に頑張ってるのに、
俺だけ止まれるわけがない
でも ……
激しい咳がこみあげて、足が止まった
胸を押さえて呼吸を整えようとしても、
なかなか空気が入ってこない
たっつん の声が響き、もふくん が背中をさすってくれた
一斉に練習が止まり、全員の視線が俺に集まる
慌てて笑顔を作り、水を口に含む
でも、鏡越しに見えた自分の顔はひどく青白かった
のあさん が眉をひそめて、
ヒロくん も心配そうに声をかけてくる
声を張り上げてごまかす
…… けど、咳で少しかすれた声は、
いつもの元気な声じゃなかった
練習のあと、
控室で着替えていると、うり がじっと俺を見ていた
冗談めかして笑い飛ばそうとしたけど、
喉が痛んで声がうまく出なかった
そこに ゆあんくん が加わる
思わず声を張る
控室の空気が一瞬で重たくなった
みんなが心配そうに、けど何も言えずに俺を見ている
俺は慌てて笑顔を作る
でも、その言葉に安心した顔をする人は
一人もいなかった
スタジオからの帰り道
夜の街灯がにじんで見える
体は重く、足取りも遅い
メンバーの視線を思い出すと、
胸がぎゅっと締めつけられた
まだ、誰にも言えない
言ってしまったら、もう戻れなくなる気がする
「 大丈夫 」って笑っていれば、信じてくれるはず
そう信じ込もうとしながら、俺はまた咳を押し殺した












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!