第38話

Yujin × Wonyoung request
227
2026/03/03 16:04 更新

ライブ当日 ──────────。




朝から現場は慌ただしかった
最終リハ前、急な演出変更が入る
スタッフが説明を終え、空気が少し張り詰める



ユジンは一度深呼吸してから言った

ユジン
ユジン
2部の1曲目、センターフォーメーション変わる
ウォニョアのソロ導線、カメラ優先で短くなるから
ウォニョン
ウォニョン
…………

ウォニョンの指先が一瞬止まる

その導線は、
ウォニョンがこだわって何度も話し合った部分だった
メンバーも「いいね」って言ってくれたし、
ユジンも知っている


ウォニョン
ウォニョン
え?今日?
ユジン
ユジン
うん、さっき急遽決まった


淡々とした声。




いつもなら
“ごめん、急で” の一言がつく


今日はない。
ウォニョンは一瞬だけユジンを見る



ウォニョン
ウォニョン
…私の、あの演出無くなるの?
ユジン
ユジン
無くなるっていうか…短縮
ウォニョン
ウォニョン
相談は?
ユジン
ユジン
時間無かった
ウォニョン
ウォニョン
………
ユジン
ユジン
………


間。


ウォニョンの表情がすっと消える


ウォニョン
ウォニョン
……勝手に?


空気が凍る

他のメンバーたちもスマホをいじったり、
話したりしていたのだが一瞬手が止まる
聞き耳を立てる




ユジンの眉がわずかに動く

ユジン
ユジン
勝手じゃない
監督さんとかと話し合って全体見て判断した
リーダーの顔

ウォニョン
ウォニョン
…………

ウォニョンは数秒黙る


ENTJの理性が働く
今は本番前、最終リハの前



ウォニョン
ウォニョン
……まぁいいよ


その一言。

静かだけど、明らかに冷たい


普段のウォニョンならそういう言い方をしない
だからこそユジンの中で何かが引っかかる


ユジン
ユジン
何その言い方…笑
ウォニョン
ウォニョン
別に?いつも通りだけど

別に、は別にじゃない

ユジン
ユジン
…言いたいことあるなら、言えば?


普段のユジンもこんな言い方をしないだろう

だけど本番前

やっぱりライブは成功させたい
IVEの一員として。リーダーとして。


だからピリピリしてしまっていた

ウォニョン
ウォニョン
本番前だよ?もうあと数時間
ユジン
ユジン
知ってる、だから今言ってる

声は荒げない
でも空気が硬い







ガウル
ガウル
………
レイ
レイ
………
リズ
リズ
………
イソ
イソ
………

ガウルは何事?と2人のやりとりを
レイは心配そうに2人を見つめる
リズとイソは目を合わせて固まる





ウォニョンは静かに言う

ウォニョン
ウォニョン
オンニ…私あれ気に入ってたよね?
ユジン
ユジン
知ってる
ウォニョン
ウォニョン
知ってたのに…笑
何も言ってくれなかったんだ
ユジン
ユジン
………

ユジンは一瞬言葉を探す



本当は焦っていた
会社の意向も理解できる
でもメンバーの気持ちも守りたい
中立でいなきゃ、と思っていた



ユジン
ユジン
今は完成度優先

それが最適解だった


でもウォニョンには届かない

ウォニョン
ウォニョン
……分かった

もうそれ以上言わない


ウォニョンはそのまま立ち上がり楽屋から静かに出て行った




それがユジンにとって1番痛い

ウォニョンの気持ちを優先してあげたい
だけどライブはみんなで作り上げる
ファンに満足してもらわなければならない


もちろんリーダーとして中立的な立場で、
ウォニョンの気持ちのことも考えて無くすではなく
短縮で話し合いを進めた



だからこそ、ユジンもイラッときてしまった




そして最終リハは始まる


2人とも完璧にやる
プロだから

でも目が合わない
タイミングは揃うのに、呼吸が揃わない


楽屋 ───────。




重たい沈黙


ガウルがユジンに小声で聞く


ガウル
ガウル
ユジナ…大丈夫?

メンバーたちは2人が喧嘩するところを見たことがない
だから今の事態が普通ではないと分かっている


普段ならお互いを想い合って、寄り添いあって、
擦り合わせあっている2人


のはずなのに今日違う


ガウルは最年長としてどうにかして
本番に望まなければと思ったのだ

ユジン
ユジン
別に?いつも通りだけど笑

即答。

でもペットボトルを握る指が強い
クシャっと音を立てて凹んでいる






レイがウォニョンの隣に座る

レイ
レイ
ウォニョア…大丈夫?
ウォニョン
ウォニョン
うん?何が?笑

笑う。
でも目が笑ってない







イソが小さく呟く

イソ
イソ
ユジンオンニとウォニョンオンニがあんな風になってるの見たことないよ……大丈夫かな

リズがそっとイソの手を握る

リズ
リズ
そうだね…いつもと空気が違う………


本番直前 ───────。




ユジンはメンバーを見渡す


ユジン
ユジン
よし!今日も頑張ろう
ユジン
ユジン
하나、둘、셋!!


────────── アイティン ──────────


全員の声が揃う




ユジンはいつものムードメーカーの声
でもウォニョンだけ、ほんの少し距離がある

その距離にユジンが気づく
胸がざわつく
“まぁいいよ”
あの言い方が頭から離れない



ステージは成功 ───────。

歓声が響く


ウォニョンはちゃんと変更通りに対応した




普段ならみんなわいわいと楽屋に戻る
今は少しぎこちない

ユジンはレイやガウルと
ウォニョンはリズとイソの1歩後ろを







そして楽屋に着く直前、
ガウルがユジンを肘でつついた
ガウル
ガウル
ウォニョア

それだけ言い、ユジンに目で圧をかける



ちゃんと話し合いなさいとでも言いたげに








全員が楽屋に入った後、ビハインドのための撮影を終わらせ
各自片付けや帰り支度を始めた




ユジンはウォニョンの元へ近づく
ウォニョンはそれに気づく



2人の視線がかち合う







ユジン
ユジン
……ごめん
ウォニョン
ウォニョン
……ごめんなさい


2人は同時に同じことを

止まる
少しだけまた目が合う



ウォニョン
ウォニョン
ふふっ笑

ウォニョンは笑った


ユジン
ユジン
さっきはごめん……相談もなしに急で
ウォニョンが気に入ってたパートなのも知ってたのに…

ウォニョンは一瞬だけ目を伏せる

ウォニョン
ウォニョン
ううん……私も言い方悪かった
ウォニョン
ウォニョン
オンニはきっと私の意見も尊重しようとしてくれたはず……リーダーとしてちゃんと考えた結果だったんだよね?
ウォニョン
ウォニョン
……分かってる、オンニが全体を見てるの
ユジン
ユジン
ウォニョア………
ウォニョン
ウォニョン
でも、ちょっと寂しかった笑
オンニが何も言ってくれないから〜

ウォニョンは空気が悪くならないようにか分からないが
いつものように愛嬌たっぷりに言う


その言葉にユジンの肩がわずかに下がる
ユジン
ユジン
うん……笑
ちゃんとウォニョアの気持ちを尊重しようとした
だけど……ごめん、相談するべきだった

ウォニョンは小さく笑う

ウォニョン
ウォニョン
私もごめんなさい
オンニのことくらい分かってるのに、意地張っちゃった笑









レイ
レイ
よかったぁ〜
ガウル
ガウル
ふぅ……困った子達笑
イソ
イソ
オンニ達仲直りした!?ジウォンオンニ!
リズ
リズ
うん……笑


少し離れたソファーに座っているメンバーたちは
ほっと安心したようだ




ユジンが少しだけ照れたように言う
ユジン
ユジン
次からは、ちゃんと一言言う
相談する

ウォニョンが頷く

ウォニョン
ウォニョン
うん
私もちゃんと言う

距離が戻る。



ぴったりではないけど、いつものようにちゃんと隣
最初からお互いの隣は決まっていたかのように







運命 ──────────


この言葉がよく似合っているのかもしれない
本人たちも“運命だ” そう思っている





同じ身長
同じ事務所
1日違いの誕生日
IZ*ONEでのデビュー
そしてまたIVEで共に再デビュー





STARSHIPのキャスティングスタッフが
ウォニョンの姉の卒業式に出向いていなかったら
ウォニョンを見つけていなかったら
ウォニョンに声をかけていなかったら



ユジンがあのまま教師を目指していたら
14歳の時、年末歌謡授賞式を見に行ってなかったら
ペンライトが私に向けた光であって欲しいと思わなかったら
自ら会社にメールを送っていなかったら
STARSHIPが1番にユジンに連絡していなかったら





もしかしたら2人は今の形で出会えていなかったかもしれない
いや、2人ならどんな形でも出会っていたかもしれない



2人は運命なのだから。





アンニョンズは喧嘩しない
お互いがすごく大切な存在だから



でも、衝突してもちゃんと戻れる
お互いに反省して、話し合える





それが8年目の関係だった
リクエストありがとうございました!!
本当はもっと大喧嘩シチュエーションで書こうと思ったのですが、アンニョンズの関係性、2人のそれぞれ相手に対する考え方だと怒鳴り合う、言い合うような喧嘩はしないだろうなと思って。冷戦くらいにしちゃいました🙏🏻

プリ小説オーディオドラマ