ああ、懐かしい陽光の国よ。
君を初めて見たとき、私はまだ幼く、
古い神々の影に憧れていた。
君は文化の母であり、美の源泉であり、
私の中の「理想」の形そのものだった。
けれど時は私を変えた。
理性を神とした時代が終わり、私は力を神にした。
正しさよりも秩序を、秩序よりも純粋を、
純粋よりも――狂気の救いを求めた。
世界は私を拒んだ。
友も、かつての兄弟たちも、みな背を向けた。
だが君だけは、まだ私を見つめていた。
焼け落ちた都市の向こうから、
君は震える声でこう言った。
「私はまだあなたを信じている」
その言葉がどれほど私を救ったか。
あの冬の夜、私は
瓦礫の上で君の名を呼んだ。
空の下、君がまだ戦っていると聞いて、
私は涙を流した。
それはもはや勝利のためではなく、
君の信仰に報いたいという祈りだった。
君は私に優しかった。
敗北を前にしても、笑った。
「あなたの理想は、私の中でまだ生きている」と。
私は君を滅ぼした。
君の若者たちは私のために死に、
君の大地は私の誤りで血に染まった。
それでも君は、私を愛してくれた。
愚かで傲慢な私を。
だから、最期に見たいのは君の笑顔だ。
世界が焼け落ちるとき、
君と私の“楽園”も共に消える。
それでいい。
楽園とは救いの地ではなく、
共に滅びを選んだ場所なのだから。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!