第26話

Part《25》
69
2024/02/19 12:47
中島敦
中島敦
す、すっかり遅くなっちゃいましたね
国木田独歩
国木田独歩
嗚呼、窃盗犯が中々に抵抗した所為でこんな時間になってしまった、全く、また予定が狂った
中島敦
中島敦
あはは、でもこの後は社に戻って残りの仕事を片付けたら終わりですから
国木田独歩
国木田独歩
まぁそうだな、もう猟犬も帰っただろうし、面倒事はもうないだろう
中島敦
中島敦
そうですね
国木田独歩
国木田独歩
そういえば敦、今日は誰かに見られている感じはあったか?
中島敦
中島敦
えっと、はい、あったんですけど.......なんて言うか、普段のような気持ち悪い感じじゃなくて、なんか、違う感じの視線が
国木田独歩
国木田独歩
そうなのか?
中島敦
中島敦
はい、僕もよく分かんないんですけど
国木田独歩
国木田独歩
そうか.......敦、お前はこのまま寮に帰れ、今は見られている様子は無いし、今のうちに帰った方がいいだろう
中島敦
中島敦
でも、まだ仕事が
国木田独歩
国木田独歩
お前の仕事くらい俺が片付けておく、今はお前の身の安全の方が大事だ
中島敦
中島敦
.......ありがとうございます、お手数かけます
国木田独歩
国木田独歩
気にするな、今更1人分の仕事を片付けるくらい造作もない
中島敦
中島敦
あはは
国木田独歩
国木田独歩
じゃぁ、俺は社に戻るぞ、寄り道せずにまっすぐ帰れよ
中島敦
中島敦
はい、ありがとうございます、また明日
国木田独歩
国木田独歩
嗚呼、また明日






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中島敦
中島敦
.......はぁ
あの後国木田さんと別れて寮に戻っている最中
最近みんなに迷惑かけてばかりだ、僕個人の問題なんだし、僕が何とかしなくちゃ
中島敦
中島敦
.......でも、どうすればいいんだろ
話を聞く限り複数人の組織の可能性が高い、それに僕を誘拐しようとした人達はみんな躊躇いなく自害したらしいし、一筋縄では行かないだろうな
芥川龍之介
芥川龍之介
.......人虎
中島敦
中島敦
!.......芥川?何でここに
芥川龍之介
芥川龍之介
僕の進行方向に貴様が居ただけだ.......それよりも、何をそんなにぼーっとしている、少し前に忠告しただろう
中島敦
中島敦
う、五月蝿い!こっちは色々考えてるんだよ!
芥川龍之介
芥川龍之介
例の誘拐の件か?
中島敦
中島敦
!......なんで知ってるんだよ
芥川龍之介
芥川龍之介
マフィアの情報網を舐めるな、それくらい調べればすぐに分かる
中島敦
中島敦
いや、それは何となく分かるけど、何でそんなこと調べたんだよ
芥川龍之介
芥川龍之介
.......たまたまだ
中島敦
中島敦
.......そうかよ、それで、話しかけてきたってことはなにか話があるんだろ
芥川龍之介
芥川龍之介
.............貴様との約束を違えた
中島敦
中島敦
芥川龍之介
芥川龍之介
六ヶ月間、誰も殺すなと言う約束、其れを僕は違え人を殺した、貴様との約束を違えた以上、貴様を殺すことはもう辞めることにする.......そして、こうして相見える事もこれで最後だ
中島敦
中島敦
!な、なんで
芥川龍之介
芥川龍之介
僕のプライドというものだ、約束は守ると言っておきながらこの失態、故に貴様にはもう金輪際会わん
金輪際って、会わないって、なんだよ、いきなり
芥川龍之介
芥川龍之介
貴様も清々するだろう僕と顔を合わせる必要もなくなる.......では、僕は___
中島敦
中島敦
待て!
芥川龍之介
芥川龍之介
.......なんだ
中島敦
中島敦
いきなり、そんな事言われても、約束破ったのは、確かにあれだけど、だからって、金輪際会わないなんて
芥川龍之介
芥川龍之介
何故だ、貴様も清々するはずだ
中島敦
中島敦
た、確かに、お前に命を狙われる必要が無くなるのはいい事だけどさ.......いきなり会わないなんて言われたら驚くだろ!それにまだ約束を破った理由を聞いてない!
芥川龍之介
芥川龍之介
.......理由など知ってどうする、貴様には関係((
中島敦
中島敦
あるんだよ!!
僕は芥川に掴みかかる
芥川龍之介
芥川龍之介
中島敦
中島敦
お前、ホントなんなんだよ!!前はいきなり現れたと思ったら優しくしやがって!!!今度はもう会わない?巫山戯るなよ!!
いつもいつも、いきなり現れてはいきなり居なくなりやがって
中島敦
中島敦
なんでお前僕との約束破ったんだよ!約束は守るって言った癖に!なんで"また破るんだよ"!!!
"あの時"も破って、僕の前からいなくなって
中島敦
中島敦
なんで、お前はすぐ僕の前からいなくなるんだ、なんで、"また"居なくなって、"また"僕を1人にするのか?
もう1人は嫌だ、いつも、"いつも一緒にいるって"____
中島敦
中島敦
一緒にいるって言ったのは、お前じゃないかッ
芥川龍之介
芥川龍之介
.............
なんで、どうして.......あれ?
中島敦
中島敦
僕、何言って、芥川はそんなこと一度も、
いや、確かに言った、言ったんだ、僕を1人にしないって、でも芥川はあの時約束を____
中島敦
中島敦
やく、そく?なんの、なんだっけ、あれ?
なんで、こんな事を____
芥川龍之介
芥川龍之介
.......すまない
中島敦
中島敦
え?
芥川の声が聞こえた瞬間、血の匂いと少しの優しい匂いと、懐かしいような匂いが広がった
数分して、僕は芥川に抱きしめられていると分かった
中島敦
中島敦
あ、あくたが__
芥川龍之介
芥川龍之介
お前との約束を破った理由は、お前が攫われたと聞いたからだ
中島敦
中島敦
.......え?
芥川龍之介
芥川龍之介
お前が黒いフードを被った連中に攫われそうになったと聞いた時、腸が煮えくり返るかと思った、"また"お前を守れず、僕は後悔することになるのかと、焦りと怒りでどうにかなりそうで、止められなかった
中島敦
中島敦
芥川?
芥川が、こんなこと言うなんて、だっていつも喧嘩ばかりで、僕を心配することなんて、
芥川龍之介
芥川龍之介
止められなくて、何も考えられなくて、目の前の敵を殺すことしか頭になかった、殺して殺して殺し尽くしたあと、お前との約束を思い出した、もし、約束を破ったと知られて、お前に嫌われるのが怖かった、拒絶されるのが怖かった、だから、自分から離れようとした
芥川、声が震えてる.......ホントに可笑しいよ
中島敦
中島敦
.......なんなんだよ、ホントに、普段はいきなり現れて喧嘩ふっかけてきて、ふらっとどこかに行く癖に、最近は妙に優しくしてきて
でも、その優しさが心地よくて
中島敦
中島敦
...怖いよ、最近みんな様子可笑しいし、芥川も、探偵社のみんなも、なんか怖いよ
でも、なんでか心のどこかで嬉しいと、懐かしいと思ってる自分もいる
中島敦
中島敦
僕のこの変な気持ちは、この違和感はなんなんだよ、僕は.......なんなんだ、
よく分からない、頭がふわふわする
なんだろう、すごく眠い
中島敦
中島敦
もう.......わかんな、い
僕の意識は、どんどん途切れていった__
















芥川龍之介
芥川龍之介
.......少し移動するか
最後に見たのは、寂しそうな顔をしている芥川だった

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