会議が終わり、静かだった会議室に騒がしさが戻ってくる。
近くにいるものと親しげに話したり、喧嘩したり、からかいあったり、横に座っていたソ連もアメリカといつも通りの喧嘩をしている。
しかし日帝はどうしてもそういう気分にはなれず、浮かない表情で黙々と帰る準備を進めていた。
頭に浮かぶのは、先ほどの会議の内容。ドイツが話した、あの内容。
日帝は扉を雑に開けて足早に外に出て、それをソ連がのんびり追いかける。のんびり、と言ってもソ連は歩幅が大きいので一瞬で距離を詰められてしまう。
すぐにソ連は日帝の横に並んで、市街地を歩く。これだから低身長は嫌なんだ。
しばらく無言で外を歩いた後、ソ連が先に口を開いた。
はぁ、と日帝はため息をつく。
それくらい分かるだろ、と言ったものの、何に怒っているのか自分でも分かっていないのだ。そもそも怒っているのかすらわからない。
もしかしたら悲しんでるのかもしれないし、何かを気まずく思っているのかもしれない。
再び二人の間に沈黙が広がる。
その沈黙をちょっと気まずく感じた日帝はソ連の顔をちらりと覗くが、本人は何も気にしていない様子で店のショーウィンドウを眺めていた。
そう思うとちょっとホッとするとともに、何かよくわからない、モヤモヤとしたような感情が日帝の心に広がるのを感じて、はぁ、とため息をつく。
どんな気持ちなのかは分からないが、どうしてこんな気持ちを感じているのかは分かる。十中八九、イタ王の件だろう。
イタ王は、少なくとも私よりは連合国に従順だったし、今でもいろんな国と仲が良い。昔よりもずっとちゃんと話してくれる国は多くなったし、信用も得られていると思っていた。
でも―
慌てて口をつぐむも、もう遅い。全く、気付いたら口に出してしまう癖はどうにかならないのだろうか
恐る恐るソ連の顔を見ると、ソ連は正面を見たまま微笑を浮かべていた。それがいつもとは違う、何処か優しげかつ悲しげな顔だったから、日帝は少し驚く。
援護してるのか悪口を言っているのか分からない言葉に、二人の間の空気がほぐれていくのが分かる。
それに促されるように、日帝も口を開いた。
また広がる暫しの沈黙。空を見上げると、曇っていた空のすき間からちょっとだけ日が差しているのが分かる。
分かれ道でソ連と分かれ、一人の道を歩く。
さっきまで暗く、霞がかっていた心が少し楽になった。日本が言っていた、悩みは人に話すと楽になるというのは本当だったようだ。
やはり何かを奢るのが手軽だろう。いや、アル中だしウォッカがいいかもしれない。
その時だった。
また大きい力で背中をバァン!!!と叩かれる。もう今日で2回目だ。
さっきの後遺症もあり、ヒリヒリと痛む背中を抑えながら振り向くと....












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。