匠海 side
レッスンが終わっていつもストレッチなどをしながら
雑談をするのがいつもの俺たち
でも今日の俺は話す気になれなかった
というか何もする気がしなかった
だから今日はみんなが話すのを
ほとんど聞き流してボーっとしていた
柾哉「雄大、さっきの子大丈夫なの?」
雄大「知らん。」
柾哉「知らんじゃないでしょ」
威尊「なんかあったん?」
柾哉「レッスン始める前に入口付近で雄大と女の子が言い合いしてて」
京介「普通に何やってんの?」
雄大「だってあなたが顔出しだけで入るの考えるとか言い出して」
あなたという名前を聞いて
俺はつい耳を傾けてしまった
柾哉「あなたってもしかしてあの歌の子?」
雄大「うん。あれをほっとくのはもったいないからって社長のとこ話に行って所属させてって」
京介「お前そういう行動力すげえな」
威尊「でもそれで何で喧嘩なるん?」
雄大「入る条件が顔出しって言われて、そしたら考えさせてほしいって、帰ろうとしててさ。いや、条件顔出しだけなんやで。なんでそれで考えなあかんねんって」
匠海『なあ。雄大それ本気で言ってる?』
今日は口出ししないつもりだったのに
この話題だと言わずにはいられなかった
雄大「だって、あなたにとってはこの事務所入るのが一番のチャンスやん。顔を映せばいいだけ、いつもの動画とほとんど変わらんのに」
匠海『いや、顔を映せばいいだけって本気?」
雄大「だってそうしたら事務所入れるんやで」
匠海『そうかもしれん。でもそれ言われたときその子どんな顔してた?』
雄大「それは・・・」
匠海『確かに俺たちに取ったら顔出しなんか当たり前やし、それぐらいってことかもしれん。でもその子にとったら顔出ししたくないからずっと映さずに活動してたんじゃないん?』
雄大「それはそうやけど」
匠海『自分にとっては簡単なことでも他人にとっては難しいことっていっぱいあるんやで。その子だって事務所に入る気があったからここまで来たんやろ。やのに即答できんぐらい、顔出しすることはその子を苦しめるんやないん」
雄大「ごめん」
匠海『あ、俺こそごめん』
雄大に謝られてやっと我に変えた
なんかついキツく言ってしまったかもしれん
でもあなたはあの後もだいぶ苦しんだのだろう
今もきっと一人で....
京介「お前急に感情的になり過ぎな」
匠海『ごめんって』
威尊「でも俺も匠海が正しいと思うな」
京介「珍しく良いこと言ってたしな」
匠海「珍しくってなんやねん」
柾哉「明日、ちゃんと学校で謝りなよ」
雄大「うん。匠海って結構お兄ちゃんやったんやな。一人っ子の癖に」
匠海「癖にって何やねん。まあ雄大よりは年上やし。可愛い妹と弟みたいな子がよく家におったからな」
雄大「何それ初耳や」
匠海「言ってないからな」
雄大「明日学校行ったら謝って、ちゃんと相談のる」
柾哉「よし、じゃあ帰ろう」
ごめん雄大
あなたは事務所に入らん気がする
もしあなたが入ろうとしても宏斗が止めるはずやから











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。