〜preboot軸undertale〜地上世界のとある家〜深夜〜
僕達の先祖、英雄と呼ばれた少女の名前。
100年前の日記らしき物だけど、その文章だけでも見れば分かる。
ただ結界魔法が得意なだけの、静かに暮らしたい女の子だって。
…そして、その瞳の色は、今生きている誰も知らないらしい。
…僕達は反逆者呼ばわりされてる。
僕達が6歳になったら殺される予定だったのが、父さんが騒動を起こして逃げられた。
…あの直後に、一瞬視界が紫色に染まったような気がした。
何が起こったのかは、容易に想像がつくけど…
その時からずっと、命を狙われている。
学校なども、繰慧の名字は隠して通っている。
ガチャッ
…姉さんを見て、最近思う事がある。
姉さんはどんな魔法が使えるんだろう。
…魔力の波動が少しでもあるとバレる危険がある以上、ずっと隠してきた。けど…
扱う魔法は色ごとに違う。
小さい頃に繰慧の家で見た奴らの瞳は、様々な色だったけど赤は居なかった。
青も僕以外には少なかったけど、居る事は確認している。
ただ、ソイツらと僕の魔力量は桁違いらしい。
…僕達の魔力が極端に多い理由は分からないけど…そのせいで狙われている。
今はただ、この力を隠し続けて、自分と姉さんの身を守るだけだ。
…ただ、興味のある事もある。
モンスター。僕達の一族が英雄と呼ばれるようになったきっかけ。
僕がまだ幼い頃に、こっそりカメラを持って行ってイビト山に仕掛けておいた。
僕が生きている限り魔力で動くから、電池切れにはならない物だけど…
今までに7人の人間が行方不明になったと言われているからか、登る者は居ない。
人間が映ったら反応する仕掛けだけど、その反応もずっと無い。
さっきの日記には、バリアを破るには7つの人間の魂が必要とあった。
推測すると、1人はバリアを抜けるのに使われて、残りは1人。
…当分起きそうに無い事を想像しても仕方ないけど、僕は考えていた。
…僕は、それがそう遠く無い未来である事も、自分達にこれから起こる運命も、まだ何も知らない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!