N side
きょう、だい……?
俺はその言葉を理解するのにたっぷり
10秒はかかったと思う。
なんでそんなことをするのか、と
自分の心でふつふつと怒りが込み上げてきた。
りうらは切ない表情をして、
俺に笑いかけてきた。
きっと、りうらがお兄さんに抱いている
会いたいという感情は俺がりうらに抱いている感情と
一緒なんだろう。
いや、少し違うかも。
俺はりうらの涙で濡れた頬を優しく撫でて、
ぎゅっと優しく、強く抱きしめた。
嗚咽を漏らして俺の胸で泣くりうらに
優しく頭を撫でる。
涙でぐしょぐしょの顔で
りうらは話しかけてきた。
そこから少しりうらが落ち着いて
他愛のない話をして俺たちは別れた。
俺は帰り道、こんな田舎の村に行きたいとこなんて
あるのだろうかと考えながらゆっくり歩いていた。
俺が家に着くちょっと前におばさんが
話しかけてきた。
そう言って渡してきたのは
1枚の端がボロボロになった紙だった。
2等分に折られている紙は掌サイズだった。
俺はなんなのか確かめるために開いた。
その瞬間、体に衝撃が走った。
それは、母の字で綴られた手紙だった。
内容はともかく、すぐにもう一度2等分に折り
おばさんと別れを告げた。
家に駆け込み、ドアの鍵を思いっきり閉める。
そのままドアにもたれかけながら、
床にへたりこんだ。
掠れて、息が整っていない声で呟く。
なんで、今更……、
俺は怖いのと、寂しいのと、怒りと、疑問で
お腹がぐるぐるとしてきた。
俺は手紙をぽっけに入れて
あの原っぱへともう一度向かった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。