第5話

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2025/08/20 11:29 更新
N side
Liura
昔ね、兄弟がいたんだ。
Naiko
え、……っ?
きょう、だい……?
俺はその言葉を理解するのにたっぷり
10秒はかかったと思う。
Liura
お兄ちゃんがいてね、
すごく優しかったの
Liura
けどね、お母さんたちが
死んじゃってからね
いなくなったの
Liura
りうら1人置いて
Naiko
え、……
なんでそんなことをするのか、と
自分の心でふつふつと怒りが込み上げてきた。
Liura
りうらねここの原っぱの
少し遠いとこにお家があるの
Liura
けどね、
元々は誰のかわかんない
Liura
勝手に使ってたの
りうらは切ない表情をして、
俺に笑いかけてきた。
Liura
りうら、
お兄ちゃんに会いたいの
きっと、りうらがお兄さんに抱いている
会いたいという感情は俺がりうらに抱いている感情と
一緒なんだろう。
いや、少し違うかも。
Naiko
俺も会ってみたい
Liura
えっ……、?
Naiko
りうらを
1人にしないでって伝えたい
Liura
っっ、……ポロッ
俺はりうらの涙で濡れた頬を優しく撫でて、
ぎゅっと優しく、強く抱きしめた。
Naiko
大丈夫、大丈夫
Naiko
お兄ちゃんが
見つからなくても
Naiko
俺はりうらのお兄ちゃんで
在り続けるよ
Liura
うううぅ……
ないくん…ッッ
嗚咽を漏らして俺の胸で泣くりうらに
優しく頭を撫でる。
Liura
……ね、ないくん
Naiko
ん?
涙でぐしょぐしょの顔で
りうらは話しかけてきた。
Liura
りうら、
行きたいとこがあるの
Naiko
うん
Liura
……連れてって
Liura
……っ、お兄ちゃん
Naiko
!!
Naiko
連れてくよ、りうら
Naiko
一緒に行こう
Liura
……!!
絶対行く!!
そこから少しりうらが落ち着いて
他愛のない話をして俺たちは別れた。
Naiko
…行きたいとこ、か
俺は帰り道、こんな田舎の村に行きたいとこなんて
あるのだろうかと考えながらゆっくり歩いていた。
おばさん
あら、
ないこくーん!
俺が家に着くちょっと前におばさんが
話しかけてきた。
Naiko
どうしましたかー?
おばさん
あのね、
家を掃除していたら
こんなものが
そう言って渡してきたのは
1枚の端がボロボロになった紙だった。
2等分に折られている紙は掌サイズだった。
Naiko
ん?
俺はなんなのか確かめるために開いた。
その瞬間、体に衝撃が走った。
それは、母の字で綴られた手紙だった。
内容はともかく、すぐにもう一度2等分に折り
おばさんと別れを告げた。
家に駆け込み、ドアの鍵を思いっきり閉める。
そのままドアにもたれかけながら、
床にへたりこんだ。
Naiko
はぁっ、はぁっ、はぁっ…
Naiko
な、んで……、
掠れて、息が整っていない声で呟く。
なんで、今更……、
俺は怖いのと、寂しいのと、怒りと、疑問で
お腹がぐるぐるとしてきた。
Naiko
り、うら……
俺は手紙をぽっけに入れて
あの原っぱへともう一度向かった。

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