第3話

邪悪との出会い
39
2022/12/05 07:02
-前回のあらすじ-
赤崎理科高校に転校して初日にもかかわらず、たくさんの友人(?)ができた美咲。しかし、放課後の祐香の言葉の意味を理解できなかった美咲は、少しの不安を抱えながらも学校生活を送ることになった...
美咲
美咲
あれからもう二ヶ月か...
あの、転校初日の出来事から今日で二ヶ月になる。
裕香
裕香
その思考が、あなたを狂わせていくかもしれない。
あの日の放課後、祐香さんが放ったこの言葉が今も忘れられない。
美咲
美咲
...
椿
椿
どうしたの、美咲?
美咲
美咲
あっ、ごめんね。少し考え事をしてたの。
暁岡
暁岡
考え事とは?
美咲
美咲
いや、それは...
雷人
雷人
まぁまぁ、なにか言えない事情でもあるんだろう。
雷人
雷人
そう問いただすなよ。
暁岡
暁岡
まぁ、たしかに...
美咲
美咲
ご...ごめんね。
雷人
雷人
いや、美咲が謝る必要ないよ。
椿
椿
ごめんね、美咲。私が...
美咲
美咲
いや...そう言われると...返って...
暁岡
暁岡
君たち。そろそろ授業が始まる時間だぞ。
雷人
雷人
お前はなぁ...
暁岡
暁岡
なにか?
雷人
雷人
...いや、やっぱやめた。
椿
椿
まぁまぁ、二人とも...
美咲
美咲
ともかく、もう時間だから。はやく座ろう。
雷人
雷人
そうだな。怒られる前にはやく座ろう。
そうして、2時限目が始まった。
江崎先生
江崎先生
この問題では、先程習ったピタゴラスの定理とヘロンの公式を使って解きます。△ABCの内接円の各接点から頂点までの長さはここの長さと等しいので...
裕香
裕香
...もうすぐね。
美咲
美咲
え?祐香ちゃん何が?
裕香
裕香
...いずれわかるわ。今は講義に集中していて。
美咲
美咲
わ、わかった。
...気になる。ただ、そう言われちゃったからには真面目に受けないと。
江崎先生
江崎先生
そのため辺D上部を表す(s-a)は...
河島
河島
江...江崎先生!!
急に河島先生が教室に飛び込んできた。
河島
河島
こ...校舎裏で、ば...爆発が...!!
江崎先生
江崎先生
爆発ですって!?
美咲
美咲
爆発!?
クラス全体がざわめく。
ただ、後ろに座っていた祐香さんだけは冷静だった。
裕香
裕香
落ち着いて。今は先生の指示を優先しましょう。
雷人
雷人
祐香は冷静だな。俺たちも落ち着こう。
美咲
美咲
そうだね。
江崎先生
江崎先生
私は状況を確認してきます。その間にあなた達は河島先生の指示に従って速やかに避難してください!
江崎先生が教室から飛び出ていく。
五藤
五藤
避難ッ!?
河島
河島
皆さん、落ち着いてください!これから、避難を開始します...!
この教室の前の廊下は、校舎裏の緊急通路につながっており、遠回りすると中央階段と右階段から一階へ降りることができる。
椿
椿
かなり大変なことになったね...
裕香
裕香
私達の避難経路は、校舎裏緊急通路を通って避難するルートだったわね。
暁岡
暁岡
しかし、爆発元が校舎裏である以上、その通路は使えないだろう。
五藤
五藤
じゃあ、遠回りして中央階段へ行こうッ!!
雷人
雷人
ただ、中央階段は他学年も避難経路として利用していると思う。
美咲
美咲
となると、右階段を通るのが一番いいのかな?
避難経路は決まった。あとは...
椿
椿
私が河島先生に提案をしてくるね。
暁岡
暁岡
助かる。その間に僕たちは避難準備をしておこう。
椿ちゃんが河島先生に避難経路の提案をするために先生のもとに走っていった。
河島
河島
...なるほど!
河島
河島
みなさん、右階段を利用して避難します!
河島
河島
避難準備ができている人はすぐに避難してください!!
裕香
裕香
どうやら提案が通ったみたいね。
美咲
美咲
私の準備はできてるよ!!
暁岡
暁岡
こちらも問題ない。
椿
椿
うん、こっちも平気。
五藤
五藤
俺も大丈夫だッ!!
雷人
雷人
ああ、問題ない。避難を始めよう。
そうして私たちは一斉に走り出した。
どういう状況なのかもわからない。ただ、今は避難するだけ。
...のはずなのに。
美咲
美咲
...
なにかとても不吉な予感がする。なんというか、こう、深い...
別れ?
五藤
五藤
右はどっちだッ!!
暁岡
暁岡
右は右だ!!
椿
椿
右は...こっちだよ!!
もうすぐ右階段だ。ただ、右階段に近づくにつれ、不吉な予感は更に大きく、主張してくる。
美咲
美咲
...この扉を開けたら右階段だよね。
裕香
裕香
ええ。ここから逃げるのだけれど...
暁岡
暁岡
どうかしたのか?
裕香
裕香
なんだか、とても嫌な予感がするの。
美咲
美咲
...私も。
裕香
裕香
ドアを開けたら...念のため前方に注意して。
雷人
雷人
わかった。二人が言うのなら、警戒しておこう。
ドアを開ける。
ドアの向こう側には、いつも通りの右階段があった。
ただ...
裕香
裕香
5...4...3...
祐香さんがカウントダウンし始めた。
美咲
美咲
え?
裕香
裕香
2...1...
ドッカーーン!!!!
椿
椿
何!?
暁岡
暁岡
爆発音だ...それも前方から!!
美咲
美咲
もしかして...
急いで階段を駆け下りる。そこには...
裕香
裕香
...
廊下が燃えていた。
雷人
雷人
本当に...前方から...
コードネーム[R]
コードネーム[R]
最高のショーだと思わないか?
どっかで聞いたことがあるセリフだ。
裕香
裕香
この声は...!
とっさに後ろを振り向く。
すると...
五藤
五藤
誰だッ!!
そこには、フードをかぶった謎の男と謎の女が並んで立っていた。
コードネーム[M]
コードネーム[M]
初めましてだね。
裕香
裕香
コードネーム[M]...
美咲
美咲
[M]?
コードネーム[M]
コードネーム[M]
そうだよ。私は[M]。
雷人
雷人
そしてその隣りにいる男は...
コードネーム[R]
コードネーム[R]
俺は[R]。...そうだな、[M]の付き添いというべきか。
椿
椿
ねぇ、祐香、あいつらは一体何なの?
裕香
裕香
...それは...
美咲
美咲
うっ...
雷人
雷人
どうした!?美咲!?
美咲
美咲
ちょっと...頭が...
暁岡
暁岡
君たちの目的は何だ。
コードネーム[M]
コードネーム[M]
私達の目的?うーん、そうだなぁ...
コードネーム[M]
コードネーム[M]
「時を壊す」ことかな。
裕香
裕香
時...
コードネーム[R]
コードネーム[R]
君たちは、時に操られている。
コードネーム[R]
コードネーム[R]
その時を操っている存在というのが...
コードネーム[R]
コードネーム[R]
そいつだ。
謎の男は、祐香さんに向けて指を指した。
椿
椿
祐香...?
コードネーム[M]
コードネーム[M]
その子...いや、「祐香」は、ね。
コードネーム[M]
コードネーム[M]
自分の都合が良くなるように時を操る、極悪人なの。
裕香
裕香
別に...私は自分の都合が良くなるようになんて...!!
コードネーム[R]
コードネーム[R]
だから俺たちは、その極悪人を...
コードネーム[R]
コードネーム[R]
"始末"しなければならない。
美咲
美咲
始末...
暁岡
暁岡
殺す ということか?
コードネーム[R]
コードネーム[R]
まぁ、そうだな。
椿
椿
祐香...あなたって...
美咲
美咲
祐...香...?
裕香
裕香
...
雷人
雷人
いや...
雷人
雷人
俺はお前たちには騙されない。
雷人
雷人
祐香は...
雷人
雷人
俺たちの身を守ってくれた からな。
コードネーム[M]
コードネーム[M]
...身を守る...か。
裕香
裕香
雷人...
暁岡
暁岡
ああ、なんとなく悪いのはそっちのような気がするな。
暁岡
暁岡
お前たちはこの学校の無実な生徒を殺してでも、祐香を始末しようとするのか?
美咲
美咲
そう...だ..よ...
美咲
美咲
私たちは...あなたを信じない...
美咲
美咲
今信じられるのは...仲間だけだから...
コードネーム[R]
コードネーム[R]
...そうか。
コードネーム[R]
コードネーム[R]
懐かしいな。
コードネーム[R]
コードネーム[R]
その無駄な正義感といい...
コードネーム[M]
コードネーム[M]
でもね。
コードネーム[M]
コードネーム[M]
そんな勇気が、いつまで続くかな?
コードネーム[M]
コードネーム[M]
楽しみだよ。
裕香
裕香
...そうね。
裕香
裕香
私も楽しみだわ。
裕香
裕香
あなたがいつ、滅びるのか...ね。
コードネーム[R]
コードネーム[R]
面白い冗談だな。
コードネーム[R]
コードネーム[R]
俺たちは滅びない。何度でも蘇るさ。
美咲
美咲
それって...
コードネーム[R]
コードネーム[R]
三ヶ月間待とう。
コードネーム[R]
コードネーム[R]
それまでに、そいつをどうするか、決めておくことだな。
そして、二人は消えていった。
雷人
雷人
...何だったんだ。あいつ。
椿
椿
...事情はあとで説明してもらいましょう。
暁岡
暁岡
ともかく、今は避難が最優先だ。
見ると、いつのまにか廊下の火が消えていた。
五藤
五藤
避難経路も大丈夫そうだなッ!!
河島
河島
大丈夫ですか!?皆さん!
さっきの爆発を聞いて、先生が駆けつけてきたようだ。
椿
椿
遅いよ...先生...
美咲
美咲
あれ...?頭痛が治った...?
雷人
雷人
本当に大丈夫か?さっきまでものすごく苦しそうにしていたけど...
美咲
美咲
うん、全然。
椿
椿
不思議なこともあるものねぇ。
雷人
雷人
先生、江崎先生は?
河島
河島
江崎先生は...
河島
河島
...
美咲
美咲
?
河島
河島
...亡くなった。
暁岡
暁岡
亡くなった...?
河島
河島
ああ、何者かに襲撃されてな。
亡くなった...
椿
椿
江崎先生...
私たちを助けてくれた。
導いてくれた。
そんな江崎先生が...
こんなすぐ死んじゃうわけない。
...そう、信じたい。
美咲
美咲
まだ、現場にいってみないとわからないよ。
美咲
美咲
今信頼できるのは、仲間だけ。
雷人
雷人
そうだな。その情報が偽りだといいんだが。
河島
河島
...そうですね。私も実際に現場を見たわけじゃありませんし。
河島
河島
とりあえず今は避難を優先しましょう。
河島
河島
話は後です。
美咲
美咲
...はい。
そうして私たちは、学校を後にした...
[作者振り返り]
AQUA_HO
AQUA_HO
作者です。
AQUA_HO
AQUA_HO
そろそろ緊張感が増してきましたね。
AQUA_HO
AQUA_HO
ちょっと展開が急すぎたかな... と思っているところですが。
AQUA_HO
AQUA_HO
あと、今回はおまけなしということで。
AQUA_HO
AQUA_HO
ありがとうございました。

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