厚いガラスの向こう側で唇をほぐしているへチャンヒョンを見つめると、
視線に気づいたヒョンが自分の目をさしたピースで、
僕を指差して、
「みててね」
口パクでそう僕に囁く。
いつになく真剣で、でも少し余裕のある笑顔で。
知ってはいても、
実際に今歌っているとは思えない正確な歌に驚いてしまう。
独特の甘くて溶けそうな声が音を掴んで言葉と共に響く。
正確で素早い修正。
PDさんの曖昧な言葉のニュアンスまでうまく汲み取って、
でもへチャンヒョンらしさを失わない。
なんか緊張よりも早く歌いたい気分になってきた
レコーディングブースのへチャンヒョンを見ながら語るロンジュンヒョンの横顔は、
少し悲しそうで、
それでいて愛おしそうな優しい笑顔だった。
ドアをくぐるように屈んで入って来たのはジャニさんだった
優しく笑うジャニさんはとても優しく見えた
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レコーディングルームをルンルンで出てくる
ヒョンはレコーディングされた音声を一通り聴いて、
満足げにレコーディングルームをあとにした。
ガラスの向こうのジャニさんはヘッドフォンを装着すると
マイクを自分の高さまで上げマイクに向かった。
さっきまでの優しいジャニさんじゃない。
野生の垣間見れる目つきに変わっていた。
ヒョンの英語は色気に満ちていて、
それと同時に落ち着きの色がある。
へチャンヒョンの声に重なると、
歌の雰囲気がガラリと変わる。
ビニをかぶって眼鏡にマスク姿のマークさんが入って来た
そう言いながらロンジュンヒョンの耳を人差し指の背で撫でる
マークさんの労いって独特だな
この曲は収録はされるけどまだイメージ映像もとってないから、
マークさんとちゃんと話す機会はまだなくて、
優しい人っていうのは映像からもよく知ってるけど、
まだyoutubeで見てた人って感じだ。
立ち上がった僕の方をチラリと見ると、
言葉を探すように顎に手を当てて、
気まずそうに言葉を発する
迷子だった拳を差し出してくれるので、
ヒョンの表情を見て拳をぶつける












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!