<冨岡side>
宇髄の言葉に、俺も甘露寺も自然と背筋を伸ばす。
だが、宇髄はどちらかというと落ち着いていて、なんで俺達がこんなに畏まっているのかわからないといった様子だった。
突然聞かれて、俺達はそろって真っ赤になる。
誰と、とは宇髄は言わなかったが、もちろん俺は実弥と、甘露寺は伊黒と、という話だろう。
それを頭の中で整理して、俺は無言で頷いた。
宇髄はそれを見て満足気に頷き、甘露寺の方も目線でどうか聞く。
すると、甘露寺も「当たり前」と言うようにぶんぶんと首を縦に振った。
すると、宇髄は「そうだよなあ、、そうなんだよなあ」とブツブツ呟く。
どうして突然そんなことを聞くのか、と問いかけようとして、ふと思った。
この話が本題ならば、宇髄が実弥と伊黒にしたのはそういう話なんじゃないか、と。
そして、それに気がついた時、俺の背筋がヒヤリとした。
結婚することが嫌なわけじゃない。
同性での結婚はあまりないけれど、双方の家族も認めているし、俺だって嫌がっていない。
だけど、実弥は?
もしも同性愛者であることが本当は嫌ならば、結婚の話は、、、、、?
ボソッと言った言葉は、案外個室に大きく響いた。
俺の声が大きいのではなく、個室がとても静かだったからだろう。
そして、宇髄はそれを聞いてギョッとしたような顔で俺を見た。
珍しく宇髄が焦りまくり、混乱している。
そういう話、とはどういう話だろう。
結婚についての話か、はたまた、、、
ダメだ、1度考え出してしまったことがネガティブだったから、どんどん後ろ向きな考えになってしまう。
こんなんじゃあ、みんなに呆れられるのも時間の問題だ。
悶々と考えていると、宇髄がどデカいため息をついて身を乗り出し、俺の肩をガシリと掴んだ。
そして、無理矢理俺の顔を上げさせ、自分の顔を俺の瞳に映りこませる。
ハッキリと言いきられて、俺は曖昧に頷くことしかできなかった。
でもそれは先程までの暗い気持ちからではなくて、2人の言い切りの良さに驚いたから。
少なからず、俺は2人が言い切ったことで、安心できたのだと思う。
考えすぎるというか、今この状態を大切にしすぎるというか。
確かに俺はモデル業を気に入ってはいるが、絶対にやめたくない、というわけでもない。
それが結婚に関わることならば尚更。
不死川は、俺が今の状態で十分幸せそうだから、今のままを保とうとしてくれているのだろう。
それなら、俺がトリガーにならなければな。
そう思い、俺は立ち上がる。
甘露寺はちょっとびっくりしたような顔をしたが、宇髄はただただ優しい笑みを浮かべた。
2人の声を聞きながら、俺はドリンクを飲み干して自分の分のお代を置き、喫茶店を出た。
書けなーい。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!