第29話

28
490
2025/10/02 03:36 更新
夜8時頃。私は疲れた体をベッドに預ける。
正直及川と話せないのはかなりしんどい。それぐらいあいつは私にとって大きな存在で、大切な人…
でもやっぱり
あなた
(失恋した状態で好きな人と話したくない……)
あれからも気持ちは膨らむばかり。早く忘れたいのに……
ふと、枕元に目をやる。
枕元に置かれたスマホの画面が明るく光っている。
なんだろう……通知音はなってないし…あ
及川徹
「あなたの下の名前ちゃん久しぶり。そろそろ俺ちゃんと話したい。」
やっぱり。
あの後すぐに及川からのメッセージの通知は切った。もう通知音一つ一つに喜びを感じたくない。
あなた
(……返した方がいい…かな)
あなた
「久しぶり。」
及川徹
「あ!やっと返してくれた!」
及川徹
「で、なんで最近俺の事避けてるの?俺何かした?」
いたいところついてくるなぁ……
あなた
「何もしてないよ。私の問題だから及川は気にしないで。」
及川徹
「えいやいや全然気にするよ!?さすがの俺だって少しぐらい傷つくんだからね!?」
「傷つく」
その一言で胸が痛くなる。
そっかー…私及川のこと傷つけてたんだ。尚更ダメじゃん…
あなた
「ごめんね。」
及川徹
「いや別にそこまで傷ついてる訳じゃないし、大丈夫なんだけど……!」
あなた
「なんで及川は私にそうやって話しかけてくれるの?」
及川徹
「え?前にも言ったじゃん?仲良くなりたいって」
「そういうのは好きな人だけにしときなよ」
ほんとはそう言いたい。もうこんな思いしながら及川と話したくない。
でも、怖い。
ほんとに及川が離れていっちゃったらどうしよう……って
あなた
「そっか、ありがとう」
及川徹
「うん!だからまた前みたいに話そ!!」
あなた
「ごめんね」
静かにスマホの電源落とす。
力尽きたようにベッドに倒れ込んだ瞬間、願ってもない涙がポロポロ溢れてきた。
あなた
っ……
枕カバーが次々とシミを作っていた。

プリ小説オーディオドラマ