翌日の朝ニュースを見ていると、ここからは少し遠くで電車事故があったらしい。
怖い、という感情と同時に、何故かこの事故が他人事だとは思えなかった
パニックとは違う。なのに昨日から妙な胸騒ぎが治まらない
…気のせいであってほしい。
私にしては珍しく、存在するかも分からない神様にお願いする。
結論から言えば、他人事ではなかった。
むしろ、凄く身近な話
唯一出た言葉がそれだった。
それ以上何も言えなかった
ニュースでやっていた電車事故で陽菜は死んだ。
おそらく、今朝のニュースよりも先に学校で知らされたから昨日真波は来なかったのだ
それに、私は確実にパニックを起こす
今でさえ過呼吸が止まらない
きっと昨日聞いていれば、倒れていたかもしれない
つい2日前まで楽しく話していた彼女が、呆気なく死んだ…?
思わずその場にある布団を真波に向かって投げる
ボブっと柔らかい音がして、見ると横に立っていた真波の顔に直撃していた。
我に返って謝る私をよそに、真波は続ける
その話題に興味を持ち、私は真波の話を聞き続けることにした。
陽菜が死ぬことに不可解な点があるなら、私も知って出来ることをしたい。
陽菜はこんなこと望んでないかもしれないけど、それでずっと悲しむ私達などもっと見たくないはずだ
話を分かりやすくするために、真波はピンっと人差し指を立てる
確かに…と一瞬で思ってしまった
ニュースによれば、ここからは遠い場所で電車の事故が起きていた。
ということは、そもそも風邪という理由が嘘なのかな
けど、あの陽菜のことだ
相応の理由があるに違いない。
こんな状況だが、相当恐ろしいことを口にしている
とんでもないことを耳にした。
「お腹に子供がいた」……?
まるで理解が追いつかない、不安の症状が悪化していくばかりだ
…それも初耳なんだけど
確かに真波は力もメンタルも強いし、逆に陽菜はか弱いイメージだ
だけどわざわざ送り迎えまでしてたなんて。
そして、話を聞く限り、学校の人間が絡んでいるとは思えなかった
というか、そもそも陽菜はそんなことをする人間ではない。
そんなの私たちが断言出来ることではないかもしれないけど、私は陽菜を信じてる
そこで私…か、
一応、ここでは学校の人間は絡んでいないと考える
休日まで陽菜と真波はお見舞いに来てくれていた
学校の人を連れ込んだり、連れ込まれたりするのは可能であれ相当確率は低い。
そして陽菜は担任である女の先生と仲が良く、話を聞くことが多い。
相談なら、私たちに出来なくても彼女にはするだろうな。
真波が担任を詰めた上でそれなら、学校自体は絡んでいないと考えられた
そう言葉にした瞬間、私の中の恐怖という恐怖が身体を襲う。
最悪な単語が脳に浮かんだからだ
学校じゃないなら……
真波も思わず顔を顰める。
それだけで人の家族を怪しむのはよくないのかもしれない。
だけど、もしそうだとしたら…
妙な感覚だった。
謎が、ピースみたいに埋め込まれて、やがて完成する
それと一緒。私の考えた推理で陽菜が死ぬことになった原因が埋まっていく。
真波も納得したように頷いた
昨日の時点で沢山泣いたんだろうな。目元が赤くて隈が目立っている。
こんな真波の姿を見るのも初めてだった。
いつもその日のノリで生きていそうな彼女が、今は冷静に陽菜のことを考えている。
まあ、友達が亡くなったんだから当たり前の事なんだけど。
その先は言わなくても分かってしまった。
霊媒師。平凡な私とは違って優秀で努力もする妹。
妹に、陽菜の出処を探させようとしている
もちろん陽菜のことは助けたい
私たちにさえ話せない何かがあるのなら、救われた分、救いたかった
だけど。
私が精神病を患った理由。
…なんて、綺麗事を吐く。
本当は違う。陽菜のことを助けたくても、懸念点があったからだ
妹のあんずを危険に晒してまでしたいこと。
真波も私が妹を溺愛しているのは知ってる。
それでも、真波もきっと陽菜に対する思いは十分なものなんだろう
だけど、それにあんずは関係ない
私は、妹の存在だけは守らなくてはならない
これ以上、妹を危険に晒すことがないよう、私も策を立てておかないと。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。