第21話

張り切りすぎた結果
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2025/07/12 17:20 更新





……苦しい…息ができない…






両手が塞がってて、上手く泳げない…






もがき苦しむ私を水中から引きずり出してくれたのは






梶先輩だった




梶蓮
おい、大丈夫か?
あなた
ゲホッ…ケホケホッ…は、はい…




少し水を飲んだみたいで、うまく呼吸ができない








橋の上から飛び込んだ衝撃で足取りも覚束無い








梶蓮
…少しじっとしてろ
あなた
え…わっ…!!




梶先輩はひょいっと私を担ぎ上げた










こ、これはお姫様抱っこっていうやつじゃ……









あなた
お、重たいですよ?!制服も水吸ってますし…!!
梶蓮
じゃあ歩けんのか?
あなた
…それは…
梶蓮
お前は黙って猫抱いてろ
あなた
…はい…






待機してた2年の先輩方に引き上げてもらって、リサちゃんもケージへ









よかった、無事に見つけられて…











それに、梶先輩居なかったら溺れてたかも…











蘇枋隼飛
あなたの下の名前ちゃん!
…大丈夫かい?だめだよ、無茶しちゃ!
あなた
蘇枋くん……あ、桜くんも…






河川敷に座り込んでいると、桜くんと蘇枋くんが来てくれた







蘇枋隼飛
…とりあえず、はいこれ、タオルだよ
あなた
あ、ありがとう…






タオルを受け取り濡れた髪を拭く








寒いけど、さすがに脱ぐわけにはいかない…









桜遥
…っこれ、羽織っとけ!
あなた
えっ?あ、ありがとう…






少し頬を赤らめ私を見ないように自分の上着を脱いで投げつけてきた










…うん、少しあったかくなった









桜遥
明日もあるんだ、ちゃんと返せよ!
あなた
わかってるよー……あ、桜くん!
桜遥
なんだよ
あなた
…私たちでリサちゃん捕まえたねっ!







最終的には梶先輩に助けてもらったけど、リサちゃんを離さなかったのは私









私は桜くんが「俺らで見つけるぞ」って言った事を完遂できたのがとても嬉しくて、つい頬が緩んでしまう








桜遥
…っ!バ、バカ!それでこんな無茶していい訳ねぇだろ!?
あなた
…あはは、心配かけてごめんね?
桜遥
べ、別に心配とか…!!
蘇枋隼飛
まあまあ、ほらみんな移動するみたいだ。あなたの下の名前ちゃんはそのままだと風邪ひいちゃいそうだし、先に帰ったほうがいいね
あなた
そうだね…さすがにこのままはまずいよね…ごめん、先に帰らせてもらいますっ
桜遥
おー
蘇枋隼飛
うん、気をつけて帰ってね!






みんなと別れて帰路に着く








明日も学校だし、私も制服綺麗にしないと…








帰り道を歩きながら、ゾワっとする寒気と倦怠感に襲われる








あー…これはまずいかも…先に帰らせてもらって正解だったな…







家に着いて桜くんの上着と濡れた制服をハンガーにかけて着替え、熱を測る








あなた
…あー…転校2日目で休みたくないなー…







体温は37.8と表示され、その数字を見た途端どっとしんどさが増した








解熱剤を飲むには低い…とりあえず横になってあったまりながら少し休もう…








私は布団に潜り、体を丸めて目を閉じた









………








……………











あなた
……ん…








しばらく眠っていたようで、日も傾き、空も暗くなり始めていた








体は眠る前より怠さを増していて、寒気も酷い









恐る恐る体温を測ると38.8…








あなた
わー…高いなぁ……








再度布団に潜ろうとした時、玄関をノックする音が聞こえてきた









あなた
……誰だろ……









しんどい体を引き摺るようにゆっくり玄関に近づきドアを少し開ける














そこにいたのは桜くんだった











あなた
あ、れ…?桜くん…?
桜遥
よお……これ猫飼ってるばーさんがくれた、お前の分もあったから持ってきただけだ







ずいっと袋を差し出され、受け取る








中には美味しそうなお団子…








あなた
ありがとう…









その瞬間、視界がグラッと歪んでバランスを崩し、近くの壁に凭れ掛かる










桜遥
お、おい!どうした?!
あなた
…少し熱があって……
桜遥
そんなフラフラで出てくんなよ!…入るぞ…!歩けるか?
あなた
…………厳しいかも…
桜遥
ったく…ほら、肩貸してやっから布団で寝てろ!







桜くんの肩を借りて、布団の場所まで戻される










熱を測ると39.5まで上がっていた










これはもう解熱剤飲むしかないな…








桜遥
…大丈夫、なのか…?
あなた
…ごめん桜くん…あそこのケースの中に…解熱剤があるから…それと、冷蔵庫に入ってる水持ってきてほしい……
桜遥
お、おう…!






頭が重たくて、意識もぼーっとしてる










桜くんはぎこちなく私の言った場所を探して、目当てのものを持ってきてくれた










薬を受け取り、ゴクッと飲み込んで少し横になる









あなた
ありがとう桜くん…来てくれて助かったよ…






桜くんは頬を赤らめて頭を掻く







桜遥
……なんで、あんな無茶したんだ…
あなた
…え?
桜遥
…お前が行かなくても、あいつが飛び込んでた
あなた
……なんだろうね、リサちゃんが危ないって思ったら…体が勝手に動いてた…








本当に無我夢中だった、それ以外理由はない











もちろんリサちゃんの事もだけど…











あなた
…みんなの…おばあちゃんの役に、立てたかな…
桜遥
…バカじゃねぇの?!その結果がこれだろ?!無茶しすぎなんだよ!
あなた
…ごめんね、迷惑かけて…
桜遥
!!…あー、その……つ、つまり、あれだ…初っ端から、そんな張り切らなくて…いいんじゃねぇか…?
あなた
……っ、うん、そだね…っ





私、自分じゃ気付かない内に力入れすぎてたのかな…







喧嘩もできない私にもできる事は率先してしたくて…







でもその結果、こうして迷惑や心配をかけてる…









熱のせいかな…思考もマイナス……










薬のせいで瞼も重たい……









桜遥
…お前少し寝ろ、熱なんざ寝りゃ治る










…あれ……そういえば………














あなた
…名前、呼んでくれたね…私が飛び出した瞬間…「あなたの下の名前」って……
桜遥
……あ………







桜くんはみるみる顔を赤くする






顔を真っ赤にして、口をモゴモゴしてる

















……だめだ、ちゃんと話したいのに…睡魔が本気出してきて…目開けてられない……










あなた
「お前」じゃ寂しいから…今度からは名前…呼んで、ね……










そう言い残して、私は意識を手放した












桜遥
お、おい…!……寝たのか…?












私はそのまま深い眠りについた















翌朝には熱も平熱まで下がった





桜くんに借りた上着は無くなっていて





玄関はちゃんと鍵がかかっていた



桜くん、やっとあなたの下の名前ちゃんの名前呼べました!長かったですね…


4月に川に飛び込んだら熱も出ますよね?
ちょっとまた原作からは少しだけ離れたオリジナル回でしたが、いかがだったでしょう…?(ドキドキ)

次回はまた原作に少し戻ります!


ここまでお付き合い頂きありがとうございました!

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