さっき貰ったジュースを飲む。
流石に酔いが回りやすい私が
呑んではいけない。
まだ酒カスになるのは早い。
酔いがまわってテーブルに伏して
寝ているウェンティを横目に
( こうはなりたくないな… )と思う…
そんな反面、少し常人より
道を外れている人の方が
才能があるのは事実だ。
多分ウェンティもその一人だろう。
頬杖をついて考える。
私があの二人と回った国には
色々な人と出会った。
例えば、神様や冒険者…
数え切れない程の友人ができた。
それも二人のお陰。
ただ今回の七国巡りは例外だ。
ガラスを拭くディルックさんが私に問う。
………………明日…明日かぁ
あんまり考えていなかった。
頭の中にぼんやりと浮かんだ
考えをそのまま伝える。
まだ会っていない人もいるし…
せめて会ってから次に行きたい。
そう言うとディルックさんは
一瞬暗い顔をして
そう言っていた。
なんて思ったのも束の間。
と、一杯の炭酸のジュースをくれた。
なんと太っ腹。
やはりディルックさんは紳士だ…。
そう思って、
ジュースに手を伸ばしたその瞬間_____
ジュースが視界から消え誰かに
ゴクゴクと飲まれていた。
その犯人は、眼帯を付けた
氷元素の持ち主ガイアだった…。
「 うぁぁぁー!! 」と心の中で
絶望に沈んでいると、
グラスを持っている犯人が私に言った。
私に向かってぽかんと言った。
な、何だと…??
私が飲んだのが酒だと思って飲んだの?
私が飲めないのを知っているのに?
そうやって私が胸の中で
怒りに燃えている時…
ガイアとディルックさんは目を数秒合わせた。
…余裕そうな表情をしているガイアに比べて
ガイアに対し少し睨んでいるディルックさん。
義兄弟だからか目を合わせて
分かることもあるのだろうか?
勝手な予想をつけている私に
ガイアが声を掛けた。
それは、何かあるなのでは…と思ったが
黙っておこう。
深堀りしていいことがあるのは
あの二人といた時だけ。
喉まで出てきた疑問を無理矢理飲み込んで
私はモンドでの1日目をここで終わらせた。
店に入れば、あなたの下の名前がおり
ウェンティに旦那も居た。
まぁ…ウェンティに関しては寝ていたが……
そんな事はいい。
今、サービスだと言って旦那があなたの下の名前に
出したグラスの中身は酒なはずだ。
あなたの下の名前は酒が飲めない…
もしかしてと思い、酒を横取りして飲み干した。
その酒は甘ったるい甘い甘いジュース…
いや甘さで隠してはいるが
睡眠薬入りの酒なんだろう。
そう思いながら、
俺に驚愕の目を向けるあなたの下の名前に適当に返事をして
旦那を目を合わせる。
…これは良くない。
と、本能が言った。
いつもの旦那ではない、と。
燃え盛るような真っ赤な赤い髪には
似合わぬほどの黒い、深淵の目。
ここで話すことは得ではないと…
頭がそう考えたのか
口から思わずそう零れていた_____。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!