あの後家に帰るとあなたがいつも通り、笑顔で玄関で出迎えてくれた。
そう報告すると、あなたは嬉しそうに静かにはしゃいでいた。
高校の時と変わらないところを発見できて嬉しかった。
そして少し日が経って、
今日は尚斗の幼稚園の参観日だ。
初めての参観日...
まあ、昨日はあなたも疲れてすぐ寝ちゃったし...
用意出来てなかったもんな...
大体こういう時って俺が探すと見つかるんだよね
あなたって探すの少し苦手だから
もしかしたら、他の男だったらこういうのもイライラするのかもしれないけど
俺にとってはそういう所も全部可愛いから好きなんだ
そう言うとあなたは下向いた
小声でそう言っていた。
はっきりそう聞こえた
あの時みたいな好きの言い合い
今でも健在だ
そう言ってあなたの手を取って歩き出した。
俺はあなたのことを思いっきり自慢したいんだ
そうやって、尚斗の幼稚園まで歩いた。
最初は少し戸惑っていたあなただけど、途中からは笑顔で手を握り返してくれた
どうやら尚斗のお友達のお母さんらしい。
俺の目の前でママ友の会話が繰り広げられる
いつの間にか人数が1人増えてる気が...
急なその言葉はOUT!反則!
可愛い夫婦...か
これまでに何回言われたんだろうか
まあ、あなたは可愛いし
自分で言うのはちょっと恥ずかしいけど、俺はあなたに...
まあ、デレデレ...だし
納得しなくもない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!