第3話

#1 新学年
188
2024/05/04 22:53 更新
……おかしい。絶対におかしい。ありえん。なんで。なんで………
あなた
………なんでお前がいるんじゃボケェ!!
しるこ
───へぶっ?!
勢いよく蹴りを入れてやった。かかとの尖り具合を最大限に活かした我ながら最高峰の回し蹴りは、奴の腹に深く深くめり込んだ。床で転げ回って悶絶する奴を軽蔑の目で見つつ、学校へ行く支度をする。
この止まらぬ体の震えは怒りなのか恐怖なのか。
誰だって驚くはずだ。朝起きたらこいつが居るのだから。居るはずのないこいつが。部屋に。部屋の中に。

事の次第は至ってシンプルだ。遡ること数秒前。

我、起床。目を開けると視界いっぱいに朝日の美しい光――ではなく、紫髪の奴の顔面。え、キスすんの?って思って、控えめに言ってキモいなぁと感じて、気づいたら蹴りを入れていたという次第。可哀想と思ったそこのあなた、不法侵入罪を見逃してはいけませんこれは正当防衛です。
てかまじこの人、どっから入って来たんだよ。
しるこ
ひどいよぉあなた……寝起きでそんな威力の蹴りとか早々出ないよ?!
あなた
それを出させたのは紛れもなくあんただよ
始業式の朝から騒々しくさせた戦犯・しるこを床から引っ張り上げて、朝食の準備をしに一階へ降りた。
そしてしれっと朝飯も食ってるんよなこいつ。
あなた
……((ᯣ-ᯣ)ジーッ)
しるこ
……どうしたの?
あなた
あんた罪状増えてるけど大丈夫そ?
しるこ
なにが?
何が何だかさっぱり分かってません、とでも言いたげな顔でこちらを見るしるこちゃん。このふざけたツラ。かち割ってやろうかってぐらい腹立つわ。いくら顔がね、整ってるからってねぇ、なんでも許されるわけじゃないのよ。
あなた
まず不法侵入罪でしょ?あと飯泥棒。それとプライバシーの侵害。しかもJKの。
しるこ
いいじゃん!
あなた
よくねぇわ!
間違いなく犯罪者予備軍。怖いんだけど。どうする?自分の幼馴染が数年後大人になってからテレビに出てたら。『しるこ容疑者が○○罪で現行犯逮捕されました』って。笑えんぞ、マジで。
あなた
将来警察に迷惑かけんなよ
しるこ
なんでよ!俺、犯罪に手ぇ染めるほど心汚くないもん!
あなた
現在進行形で犯罪まがいのことしてんだよおめーは!
しるこ
そっ、それは、あれじゃん、ほら……と、友達だし……
あなた
じゃれあいのつもりなら控えめに言ってマジ怖ぇからやめてくんない?
しるこ
はい……ごめんなさい……
私がしるこちゃんを叱責すると、彼はぴよんと横に飛び出た耳のような髪の毛をしゅんとさせて、黙々と朝飯を食い始めた。仔犬みたいだな、とか思いながら見ていると、それまでの元気のなさはどこへやら、みるみる謎のエネルギーが満ちてきたしるこちゃんが、にやにやしながら私を見て言った。
しるこ
さっきから俺のこと見てるけど……どうかした?
あなた
えっ、いや、なんもないよ。うん
しるこ
えー嘘ぉ。惚れちゃってんじゃないのって
あなた
は?ありえんし
急に意味不明で自意識過剰なことをほざき始めた幼馴染。なにこいつ。やば。
しるこ
だってだってぇ。朝起きたらいちばんにお出迎えしてくれてぇ、こんなにイケメンで可愛くてぇ、蹴られても怒りもせず許してくれてぇ……って、こんな優良物件なんだから惚れてもしょうがなくない?
この言い様である。
あなた
普通にキモいだけだから惚れてないし惚れる予定も無いですね
しるこ
分かってるよ!!そんな言わなくてもよくない?!冗談なのにぃ
あなた
あんたの場合は冗談と本気の区別がつかんから嫌なんだよ
そうこうしているうちに家を出る時間になった。こいつに構っていたせいで準備がまだ終わってない。
遅刻したらこいつのせいにしよ……。
あなた
ほらほら食い終わったならさっさと皿下げて
しるこ
はぁーい
恨みがましい視線でしるこちゃんにそう言って、私は準備のために再び二階へ上がろうとした。すれ違いざまに「あ、あなた」と呼び止められたので、半ばキレ気味に「なに」と振り向いた。
そしたら、最高の笑顔でひと言。
しるこ
朝ごはん、めっちゃおいしかった。ありがと
……まじ、意味わかんない。
それから即準備して、学校行きたくないと駄々こねるしるこちゃんを押し出す形で家を出た。
あなた
行きたくないって言ったって、今日から進学年新学期なんだから。楽しみじゃないの?今年一発目の席替え
しるこ
だってはこたろーと離れるのやだもん
あなた
どんだけ依存症なんだよ。もはや変態並みじゃん
しるこ
なんでよ
はこたろーとは、しるこちゃんの双子の実弟のこと。この兄とは真逆の性格と好みをしていて、基本誰に対しても丁寧かつ紳士的な応対をする(この兄にだけは世界一の塩対応をするが)。頭もよく物知りで、さらになんでも出来てしまう完璧ハイスペック男子のはこたろーだから、女子人気と兄人気がすごい。
さらに見た目も最高なんだから。非の打ち所がないよねマジで。
しるこちゃん曰く『はこたろーが3人居れば家が建つ』『一家に一台はこたろー』らしい。
あなた
まぁ、クラス変わるわけじゃないんだし?はこたろーと離れても私がいるじゃん?私と隣になれることを祈っときな
しるこ
なんで急にあなたなんよ
なんでって言いよったこいつ。
あなた
えーだってだってぇ、こんなに可愛くて頭良くてぇ、不法侵入者にタダ飯食わしてやるぐらいめっちゃ優しくてぇ、ってこんな優良物件なんだから、隣の席とか嬉しいに決まってるじゃん??
先程のウザしるこを真似して言ってみた。我ながらキモいと自己嫌悪に陥るかと思ったが、意外にも自信満々に言ってみただけ気分は良かった。
しるこ
え、どうしたんあなた
あなた
お前の真似じゃろがい。あーぁ、可愛い幼馴染に冗談ですって言わせるんだあーあ!しるこ最低!しるこを許すな!!
しるこ
え、いや……
私の唐突のヒステリックに驚いたようで、しばらくしるこちゃんはこちらを見つめて黙った。しかし次に口を開いたらもう、呆れるしかなかった。
しるこ
……確かに、ものすごい優良物件かも!!
あなた
かもってなんだよ、かもって。中途半端な肯定ないし否定やめてくんない?いちばん傷つくんだけど
否定するならもっと真っ向から完全否定してほしいもんだよ。悲しいから。
しるこ
いや、否定はしてないよ。ほんとのことだもん。ただ単にあなたが急にらしくないこと言い始めたからびっくりしただけで……
なんだ、そういうことか。……てか、冗談のつもりだったんだけどな。まぁいいか。
他愛もない話をしているうちに駅に着いた。学校はここから電車一本で20分程度のところにある。遠いのか近いのか微妙な感じ。いつもはここでしるこちゃん&はこたろーと、それから高校に入ってから仲良くなったとっくんってやつと合流する。
しかし今日はしるこちゃんがはこたろーを家に置いて明朝堂々不法侵入を行ったため、はこたろーはひとりでここまで来なきゃいけなくなった。……まぁ、彼としてはそっちの方がいいんだろうけど。
しるこ
あ、とっくんさん来たぁ
しるこちゃんの視線の先には、いつも通り自分で作ってきたお弁当を手に走ってくるとっくんの姿が。とっくんはマジで料理上手なんだよなぁ。プロ並みにうまいからいつも大体家に遊びに行った時はめちゃくちゃ豪華な晩飯まで用意してもらうもん。
しるこ
とっくんさんおはよぉ〜
あなた
とっくんおはよー
とっくん
しるこさんあなたさんおはようございます。おふたりとも早いっすね今日……あれ?今日はこたろーさん休みっすか?
あなた
いや、ちょっとかくかくしかじかあってさ
着くなりはこたろーの不在を不思議に思うとっくん。そりゃそうだ。何があっても時間は守る男が、今日という日に珍しく兄より遅いのだから。……まぁ今日は我々が早すぎた(遅刻すると思って慌てすぎた)のもあるかもしれないけど。
そんなわけで朝の事件を赤裸々に全てとっくんに語り尽くした。
とっくん
しるこさんマジで……とんだ変態やないすか
冷めた視線を送る人物がまたひとり増えた。
しるこ
とっくんさんまで引かないでぇえ(泣)
とっくん
いやマジで笑えんですって。ガチ犯罪っすもん
あなた
だよね?!私がおかしいわけじゃないよね?!
とっくん
いや明らかしるこさんがおかしいっしょ
あのとっくんが、いつもみんなに優しくて滅多に悪口を言わない誠実神のとっくんが、こんなにあからさまに嫌な顔をするのは本当に天変地異ぐらいある。しるこちゃんってやっぱ、ある意味すげぇわ。
とっくん
あーあ、またはこたろーさんに嫌われますよしるこさん
あなた
とっくん、違うんだよ。こいつは嫌われることすらもう楽しんでんのさ
とっくん
あぁ、末期ってやつか……
しるこ
はこたろーは俺のこと嫌ってない!鬱陶しがってるだけだもん!
あなた
どっちにしろだな。てか自覚あるならやめな?マジで
しるこ
いやでーっす
あなた
やべ、殴りそうになった
とっくん
えぇ?!あなたさん?!
厨二病じゃないが、(殺意に)疼く右手を必死に抑えながら、最高にウザいしるこちゃんを睨めつける。よっぽど怖い顔をしてたんだろうな、とっくんのビビりようが凄かった。
その数分後、電車が来る直前に合流したはこたろーに同じ流れで朝の事件を語ると、デジャヴが起きた。
はこたろー
兄さん…いや、しるこ……とうとうその境地までいったか……
もう何だか目に光が無くて怖い。
はこたろー
あなたさん、本当にごめん。このクソ兄が……犯罪者予備軍が……腐れ神が……
悪口のボキャブラリーが多すぎるはこたろーの攻撃は、いつもいつもこっちまで心に刺さるぐらい威力がある。
あなた
いや、私は大丈夫だけど。はこたろーも気をつけなよ?この野獣はもうどうしようもないからね。一回火がついたら止められんから
はこたろー
生まれてからの十何年間でそれは痛いほど身に染みて分かってるよ
汚物ゴミを見るような目でしるこちゃんを見るはこたろー。もはや実の兄に向ける視線ではない。というか人間に向ける視線ではない。
弁明の余地を与えぬはこたろーにメッタ刺しにされたしるこちゃんは、珍しいくらい静かになった。
電車に乗り込むと、先に乗っていたメンツと出会う。
じらいちゃん
やっほ〜みんな、おはじら〜!
かるてっと
うっす
ミントス
どーも、皆様おはよーございますゥ。あ、今日もやっぱりしるこさん来てはんのか。オェッ
それぞれ独特な挨拶をする三人は、しるこちゃんの旧友で我々のいつメンだ。
まずはじらいちゃん。ピンク色のふわふわの髪の毛とゆるい話し方で、可愛らしい雰囲気をまとう中性的な男子。しかし時折見せるサイコパスな一面は、これほど恐ろしいものはないってぐらい狂気的。まぁでも、根は本当にいい人で、よく周りを見ていてフォロー上手な彼だから、悩み相談を受ける数は段違いでもある。
続いてかるてっちー(基かるてっと)。サラサラのシルバーヘアの超絶イケメンで、お洒落と美容が大好きな営業ヤンキー担当。歌も上手くて独特なワードセンスをもつ、大胆不敵のスパダリ。魅惑のハスキーボイスは何人の乙女を堕としてきたのか計り知れない。本人は身長を気にしているらしい(163cmの私と並ぶと大体おんなじぐらいなんだよな…)。ちなみに、じらいちゃんとかるてっちーは家が隣。羨ましい。
そして最後にみんべんさん(基ミントス)。奈良の方出身らしく、致命的な滑舌の悪さを関西弁とイケボで中和している。豪快かつ爽やかな笑い方と生き様は、見ていてすがすがしくて気持ちがいい。ゲームが大好きで、どんなクソゲーも愛する彼のあだ名は『クソゲー界のインディ・ジョーンズ』。たまにマジでワケわからんクソゲー発掘してくるんだよなぁこの人。あ、あと、いつメン随一のイタズラ&妨害好き。しるこちゃんに嫌がらせするのがいちばんの楽しみとのこと。趣味悪いよな。分かるけど。
こうやって見ると我々ほんっとにクセ強いなぁ。
しるこ
なによぅ、『オエッ』って。失礼ね。俺が来ちゃいけないっての?
ミントス
だってしるこさんやで?キショいの代表格やないんすか?
しるこ
みんべんさんひどぉい!!
はこたろー
僕もミントスさんに賛成。諦めな
しるこ
はこたろーまで……!!
血の繋がった弟にまで裏切られたしるこちゃんはわざとらしく落ち込んでみせたが、その後誰にも相手して貰えず撃沈していた。
少しの間電車に揺られ、学校最寄りの駅に到着。人が雪崩なだれのように外に放流され、駅構内はわんさかわんさか人まみれ。
かるてっと
なんか今日やけに人多くね?
確かに、いつものこの時間は、混んでいるとはいえここまで多くない。少なくとも、構内を歩く時に隣を歩く人と肩が触れ合うような混み方は前代未聞だ。
じらいちゃんは心当たりがあったのか、ぴょこっと地雷耳を立てて反応した。
じらいちゃん
あれじゃない?ほら、今日の午後からフェスあるじゃん??
あなた
フェス?
じらいちゃん
うん、なんか人気のあるアーティストがより集まってイベントやるみたいだよ
かるてっと
はぇー、なるほどそれで…
はこたろー
僕らの学校の近くの山で野外コンサートするんでしたっけね
じらいちゃん
あ、そうそう。何もそんな田舎でやんなくてもねって感じだよね
はこたろー
ちょっとなんか、落ち着かないですね…
山奥で野外コンサートだぁ?オーケストラか何かかよ。
しるこ
どうする?授業中にライブの音ギャンギャン聞こえてきて先生怒鳴りながら授業してたらw
ミントス
俺も歌ったろかなww
はこたろー
普通に迷惑だからやめなさいね
あなた
こいつらマジでやりそうだもんな……
そんなこんなで、一気に都会からは外れ、山の方へと入っていく。ここからもう少し歩いて、山の中頃まで行ったところが学校だ。
とっくん
なんでこんな山奥に学校建てちゃったんすかねー
かるてっと
最寄り駅が都会なだけにちょっと悔しいよな
あなた
まぁでもいいんじゃない?静かだし
しるこ
虫わくのが嫌だけどね
あー、確かに虫わくの嫌だわ。
ミントス
え、しるこさん虫嫌なんですか?てっきり好んで食ってるんか思いましたわ
しるこ
はぁ?食べるわけないでしょうよー、あんな不味そうなのに
あなた
いやいや、そこじゃないでしょ反応するとこ
はこたろー
食用に培養されたやつしか食べちゃダメだからね兄さん。いくらその辺にわいてるヤツらが美味そうに見えたとしても
しるこ
いやだから食べないって!どんなやつだと思われてんの俺!!
とっくん
変態
ミントス
やばいやつ
はこたろー
人間の底辺
日頃の行いと今朝の1件で信用ゼロの紫はいつになく総攻撃を受けているようだ。この3コンボ。笑わずにはいられまい。
あなた
……ぷっ、くふ、ふふふ
しるこ
ちょっと、何わろてんねん!
あなた
いやーっ、言われてんなーってw
しるこ
あなたのせいだからね!
あなた
なんでだよ。あんたがまいた種でしょうに
はこたろー
責任転嫁するやつは嫌われるぞ
しるこ
ふえええん(泣)
なんだかんだ言いながら駅から数十分が経ち、学校に到着した。
相変わらず人気ひとけの死んだ学校だ。自他ともに認める『過疎高校』だからな……。
あなた
は〜やっと着いたわ
じらいちゃん
長いよねー、駅からの道のりが
あなた
(゚ー゚)(。_。)ウンウン
とっくん
全力で首振っとるw
じらいちゃん
首取れそうだね!
とっくん
いやじらいちゃんが言うと怖さ増すけんやめてw
しかもなんでちょっと嬉々としとるんよ
かるてっと
確かにw……あ、賢章先生
門のところでいつも通り花に水をあげる校長先生───小野賢章先生(皆からはよく『けんしょーさん』と呼ばれる)がいて、挨拶をするとそれはもうご主人が帰宅した時の犬みたいに食いついて嬉しそうに挨拶を返してくれる。
あなた
けんしょーさん、おはようございます!
しるこ
おはよぉけんしょーさん!
あとからついてきた面々もそれぞれ挨拶をする。
みるみる賢章さんの瞳が輝きはじめた。
小野賢章
おぉ、おはよう!偉いね君たち今日もこんな僕に挨拶してくれて……ってか見て見てこれ、チューリップ!分かる?去年植えたやつ!可愛くなぁい?こんな綺麗に咲いて……君たちの1年もこんなふうに綺麗に咲きますよーに、なんちゃって!あっ、ごめん僕向こうの掃除してくるから。じゃあねっバイバイ!
あなた
嵐のように去ってったな……
かるてっと
こちらに話すスキを一切与えないトーク術……これは敵に回したら厄介だぞ
あなた
どういう分析よw
しるこ
説教もこれって考えたらね、ちょっとキツいからね
あなた
なるほど
教室に向かう途中で担任のリモーネ先生にも遭遇した。朝からやいのやいの教室の生徒に叫びながら歩いている。雰囲気から察するに、怒鳴っているわけではなさそう。
ミントス
せんせぇ、おはよーございますー
リモーネ先生
おうお前ら、おはよう。なんだ、今日はあのガキ大将共のほうが早かったぞ
あなた
え、うそ
リモーネ先生
嘘じゃねーよ、ほんとだよ。朝っぱらからうっせぇんだからアイツら。賑やかでいいこった
じらいちゃん
えー、はなちゃんがはやく来るのなんて何時ぶり?てか俺らより早かったことあったっけ?w
リモーネ先生
ないなw
あなた
何がどうしたんだろうね……
明日嵐が来るぞこりゃ
リモーネ先生
今朝もいちばん最初に教室に来てぼーっとしてたいちはちさんに絡みに行ってたよあいつら。いちはちさんもあいつら見て『珍しいね』とか言いながら顔輝かせちゃってさ
かるてっと
相変わらずいちはち早いんだなー学校来んの
ミントス
家遠いからね、しゃあない
いちはちっていうのも私たちのクラスメイトのひとりで、しるこちゃんの昔からの親友。多分いちばん長い付き合いなのかな?そう言ってた気がする。天然でゲラでマイペースで、ほんとに猫みたいな人。見てて楽しい。
リモーネ先生
まーなんにせよ、みんな元気そうで安心したぜ。どうせ今年度も新任とかいねぇから、俺が担任な。よろしく
しるこ
よろしくね〜せんせー!
はこたろー
お願いします
あなた
お願いしまーす
通り過ぎざまにいい香りが鼻を掠めた。いつもの匂い、レモンの香りのする香水。先生がいつもつけてるやつだ。恥ずかしげもなく堂々と嗅いでるところを一度先生に見られた時、先生が『しゃーなし、1回だけだかんな?』って私の手に香水をつけてくれたことを思い出す。あれで惚れない女はいないはず。私を除いて。

隣を見ると、去る先生の背中を追おうとするほどクンクン匂いを嗅ぎ回る下等犬しることそれを羽交い締めにして止めるはこたろーが視界にうつって、相当笑った。
 
教室に着くと、先に来ていた面々と久しぶりの挨拶を交わす。
珍しく早く来ていたと先程から噂のガキ大将こと花江夏樹(はなちゃん)&正一のコンビ、それから教室のすみっこで大人しくゲームをしているふぃおさん&おしんのコンビ、そしていちはちだ。
あなた
みんなおはよ〜
そう言いながら教室に足を踏み入れようとする私をおしのけて、我々の中の悪童2人組が教室に乱入した。
ミントス
はなちゃん!!アンタが俺らより早いって何事なんだっ!!
しるこ
正一さんっ!どうなってんだ?!ドーピングでもしてんじゃねーのかCO₂ よぉ、えぇ?!
正一
うるっさww朝からなんなのww
花江夏樹
おうおうおうおうおうおめェら!朝っぱらからうっせぇな!!大声出すんじゃねぇよこrrrrrrrrrrぁあ!!!!!
正一
いやおめーがいちばんうっせーからww黙れw
あなた
ほんとうるさい……ww
始業式の日ってもうちょっとさぁ、なんか、
『久しぶり〜』『え、なんかマジで最近会ってなかったよね』『うわ〜マジ感動〜』
みたいな感じで懐かしむ情緒がないもんなの?
まぁこれはこれでいつも通りでいいけどさ……。
まるまんま動物園なんよな……サルだらけの動物園。
かるてっと
相変わらずお前早いなーw始発乗ってんの?会社員なの?w
a1857
ちょっとww違うしww確かに始発で来てるけど会社員じゃないからwww
かるてっと
今のそんな笑うとこか?w
a1857
あはははwwwwwww
あなた
おうおうありゃテンションいかれちまったなこの休みの間に……
早速灰色は茶色のところへ絡みに行っていた。さすがいちばんの仲良し小僧。
かるてっちーの摂取不足なのか、いちはちのテンションがいつも以上におかしかった。というかツボが浅すぎる。
おしん
お、はこたろーじゃん。久しぶり
ふぃおりーな
はこたろさんおはよう!元気してた?
はこたろー
おはようございます、元気でしたよ
こちらではふぃおしんの2人にはこたろーが話しかけている様子。平和そうなので私もそっとそちらに寄った。
ふぃおりーな
春休みは楽しかった?
はこたろー
ええ、特に問題もなく普通に漫画読んだり絵描いたり楽しんでましたよ。
ほとんど完璧だったんじゃないかな。
全く厄介な紫野郎と休みを共に過ごさなければならないこと以外は。
おしん
しるこwwwドンマイw
あなた
さらに最悪なのが、今朝しるこがやらかしやがったってことだよ。ね、はこたろー
おしん
わぁ、びっくりしたぁ。あなた久しぶり
ふぃおりーな
あなたさんおひさ〜。でー、なになにー?しるこちゃんまた何か不愉快なことしてきたの?w
はこたろー
僕が聞いてるだけでも不愉快極まりなかったですね。うら若き乙女の布団に覆いかぶさろうなど、変態のそれでしかない……
何故あんなのが僕の兄なのか……
あなた
それは我々の範疇では答えの出ぬ問題よ
おしん
そこまでやばいことやったのかよww
ふぃおりーな
あいつやってんなーw
愉快そうに笑う2人。
被害者側としては愉快ではないのだが、話すネタにはちょうどいいのでつい話してしまう。
そしてしるこの敵を量産してしまうというw
ごめんよしるこちゃん、貴様の味方はもう居ないw
楽しく談笑していると、チャイムが鳴った。今年度最初のホームルームが始まる。
って言っても、我々のホームルームなんて卒業まで変わらないいつも通りがやってくるだけなんだけどね。
リモーネ先生
おらおらぁサル共めー席に着けー。廊下まで声ダダ漏れだぞ〜朝っぱらからほんっとうっせーなーおめーらは
やいやい言いながらリモーネ先生が教室に入ってきた。
花江夏樹
あっ、先生っ、お久しぶりですっ
リモーネ先生
お久しぶりですってお前さっき会ったし喋っただろだいぶ長い時間w
正一
こいつ3秒で記憶飛ぶんでwすんませんw
花江夏樹
てへ
リモーネ先生
使えねぇ脳みそしてんなw
まぁいいや、ホームルーム始めんぞー
……っとその前にだ
あなた

何かあるんですか?
リモーネ先生
何があると思う?
しるこ
えー、なになに、先生結婚すんの?
リモーネ先生
まだ彼女もいねーのに結婚なんてするわけねぇだろてか言わせんなそんなこと!
じらいちゃん
どうしたの先生、首が取れちゃうの?
とっくん
じらいちゃん朝のやつ引っぱらないでww
リモーネ先生
首が取れたら間違いなく今俺がいるべき場所はここじゃないだろw
あーもう違う違う
あなた
えーなんだろう。こんな田舎に転入生が来ましたよ!とか?ww
かるてっと
なわけねぇだろーww
a1857
転入生?こんな山奥に?w
もっといいとこあるよwww
リモーネ先生
おいおいおいおいお前らもっと自分の学校に誇り持てや。そして正解なんよな。あなた大当たり。なんかいいことあるといいなお前
あなた
え゛っっっ?!?!?!?!?!
正一
ぶっとい声出たなぁwwww
花江夏樹
あなた名物の漢声ねwww
今年初出しかな?縁起がいいなーw
あなた
んなもん名物にすんなw
じらいちゃん
転入生だって!どんな子なんだろー
しるこ
可愛い子が来るかなぁ
ミントス
ゲーム上手い人やとええな……
おしん
何でもいいから優しい人がいい……
はこたろー
何でもいいからウザくない人がいい……
あなた
いや期待かけすぎよあんたたち
この人らいきなり転入生に質問攻めとかしそうで怖いなー……絶対この学校選ぶの間違えてるわ。というか運がなかった。
いじめとか不良まみれの学校とかよりは全然いいけど、動物園も動物園で嫌よねほんと。
と、ガヤガヤなる教室を先生が『黙らんかいこんカス!』と一喝して鎮め、廊下にいるらしい転入生とやらに合図を送った。
リモーネ先生
んじゃ、転入生入ってきていいぞー
???
はい、失礼します
ガラガラッと扉が開き、入ってきたのは───
ミントス
えーーーーーーーーっ?!?!?!
転入生を見て急に叫び声を上げたみんべんさんにびっくりしてみんなの視線がそっちに逸れた。
なんなんだこのサル、ホームルーム中もまだ興奮が治まらんのか。
???
えっ、ミンさん?!
ミントス
なんであこさんがこんなとこおんねん!
???
ミンさんこそなんで?うそ、ここやったんかあんたw
あなた
なになに、知り合いだった感じ?
ふたりはどうやら知り合いだったようだ。それもかなり久しぶりと見える。それは確かに驚くわな。
リモーネ先生
なんだ?お前たち知り合いか。なら席はミントスさんの隣でいいな。
出たァお決まりの文言〜〜〜!
あでも少女漫画のやつやん。ダメやんこれ。新しい物語始まってまうて。違う違う。
あころし
分かりましたw
あ、自己紹介してなかったですね。
はじめまして。ミンさんは久しぶり。京都から来ました、あころしといいます。よろしくお願いします〜
ミントス
よろしくあこさんッ!また引きずり回したるからな!!
あころし
はっ、それはこっちのセリフやわw
あなた
なるほど、あんたたちそういう感じか
じらいちゃん
えーすごいねぇ、すごい確率だよ。もはや運命?いや確実に運命!!すごぉい!!!
じらいちゃんなんかテンション高いな。
a1857
いい人そうでよかったねぇ、おしん
おしん
うん、よかった
かるてっと
てかすげぇイケメンじゃね?肌綺麗……ケアとか何してんだろ
ふぃおりーな
かるてっとさんの美容魂がw
容姿端麗、頭も良さそうなあころしさんの転入を歓迎し、一通り皆が挨拶を終えたところで、先生がホームルームを始めた。



というわけで新たな仲間を加えて始まった、今年も新入生ゼロ(転入生1)のびんとろ学園の第2シーズン。
これからこの動物園でまた馬鹿騒ぎの日々が始まることに、喜んでいる自分がいることは否めない。
来路花
来路花
いかがだったでしょうか、初挑戦の長編シリーズ第1話。これほんとに夢小説として需要あんのか?って感じになっちゃってますかね。ごめんなさいねほんとにね。
来路花
来路花
こんな感じでドタバタ系で書いていきます!(恋愛はないです🙏完全に青春ものというか…です)
来路花
来路花
今後ともどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

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