青葉城西の試合は、いつもと変わらない熱気に包まれていた。
黄色い声援が飛び交い、手作りの応援グッズを掲げる女子たちが試合を盛り上げている。
及川徹ファンクラブのメンバーたちは、楽しそうにキャーキャーと声を上げていた。
――でも、私はその輪にはいない。
私はいつも通り、少し離れた場所の席に座り、静かに試合を見ていた。
目の前で跳ぶのは、派手さも目立つプレーもしない、あの人――国見くんだ。
ボールを追う背中、静かな動きの中にある集中力。
そして何より、試合中の落ち着いた表情が、どうしようもなくかっこいい。
応援するのは及川先輩じゃない。派手さも、声援も、そんなものは要らない。
国見くんがコートの上で戦っていること、それだけで十分だった。
隣で友達が黄色い声を上げても、私は気にしない。
私の視線は、ただ一人、国見くんに向けられている
誰も知らない、私だけの小さなファンクラブ。
それが――国見英ファンクラブだった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!