第96話

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2024/03/18 12:25
あなたの下の名前side.







荼毘に聞かされた話を思い返す.

私がヒーローになるかヴィランになるか、なんて.

きっと多くの人がヴィランになる可能性の方を持ち上げるだろう.

私を説得するには十分な話をされて、揺らぐはずのなかった意思がまた動き出す.


否、揺らがないんだと自分に思い込ませてきたんだ.

USJ襲撃、体育祭、ヒーロー殺しステイン.

大きな出来事が起こるたびに感じていた視線.



強く見せてきた.

見せなくてはいけなかった.

またヒーロー達に狙われたくないという一心で.

自分は人を助ける強いヒーローになれる.

心優しいヒーロー志望.

そんな偽りの仮面をかぶってきたのに.



どうしてもそれを怪しさが上回ってしまっていた.

今回の件でそれが多くの人の中で確信に変わっただろう.


私の素性を知っている人は特に.




そう、きっと、

相澤先生も、ホークスさんも.

もう私を信じてはくれないだろう.






ドアの開く音がして、死柄木が入ってくる.

私の顔を見て怪しく笑う.






急に、あんなに輝いていた道標が消えた.



そのショックは、今の私を壊すには十分だった.



そうじゃなければ、死柄木に腕を引かれた時に抵抗できていた.

森で飲まされた薬を、もう一度飲まされたりしなかった.

死柄木の胸で、涙を流したりしなかった.


















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