第69話

31.Aegis
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2025/06/08 09:00 更新

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本当は、兄ちゃんが一番、夢見てたんだと思う。













幻想を抱いて、叶いもしない夢を手にしたいと、思っていた。













でも、たとえすべてを知ったとしても、逃げるという選択肢は有り得ないのは分かっていた。













なぜなら、君が、君だから













君が、あなた・あなたの名字だからーーー



























































side Hange









「エレンの…声?」





「ああ。聞こえなかったかい?」





「…はい……」







暫く経って、あなたは目を覚ました。

腫れぼったい目はそのままで、まだ赤く充血していた。



荷馬車の修理をしながら、あなたと言葉を交わす。

どうやらあなたは、私達が聞こえたエレンの声が聞こえなかったらしい。



代わりに、お兄さんの言葉が聞こえてきたという。







「その…地鳴らしというのに、巻き込まれたのかもしれません。とにかく兄はもう、この世にはいないのかと」







ポツリと呟くあなたの声は悲しげで、ただ、涙が溢れていないけれど声は泣いているようだった。







「私達の……あなたの名字の血を受け継ぐ人は、私が最後だそうです。」





「お兄さんがそう言ったのか?」





「…はい。あと……」







続く言葉はなかなか聞こえてこなくて、思わず振り返った。木片を大きさごとに分けていたあなたの手が止まった。







「うん?」





「継承者…らしいです、私。」





「え?でも、違うって…」





「私もいまいちよくわかってないんですけど、王家に仕えていた時の人の生まれ変わり……?みたいな…」





「……えぇと…?」





「同じ血筋の人たちは、私がそれを知ることがないようにってしていたみたいです。ずっと、どこにいても、誰かに守られてるなんて、すごく贅沢ですよね」







あなた自身も、よくわかっていないことだろう。だからこそ、少し他人事のように聞こえる。







「お兄さんのことは無念だろうけど、まだそうと決まったわけじゃないから…」





「いえ…わかるんです。さっきは取り乱してしまいましたが、ここに、いるような気がするんです。」







あなたは自分の胸に手を当てて、そっと呟いた。







「それがなにより、兄がこの世にいないことを現しているように思います。……少し、心強いんです。これからはずっと一緒だと思うと。」







「そうか……うん、あなたのその表情が見れて良かった。」







とても穏やかな、笑みだった。

実際、複雑な心境にいるとは思う。だけど、嘘ではない本音がそこに隠されているのもまた事実だろう。







「私もーーあなたの名字に相応しい最強の盾になってみせます。」







あなたは手にした木片をすっと私に手渡す。

芯のあるあなたの瞳を久し振りに見た気がした。







「ーー頼もしいね、あなた。さあ、荷馬車を完成させてしまおう。」







あなたの更に後ろにいるリヴァイは、安心したように眠ったままだ。

苦楽を共にしてきた彼らとあとどれだけ一緒にいられるだろうか。



あなたの未来に、私もいるだろうか。



いれたらいい。心からそう思う。















































ーーー君だから





君がそう知ってしまったのであればきっと変わると思う







一度は逃げようとした弱い兄ちゃんとは違う







きっと、未来を手にする日が来る







悲しいことも、辛いことも、嬉しいことも、なんだってやってくる







だけど、あなたの描く未来を、







兄ちゃんは、応援する







強く願って







どれだけ離れていても、きっと大丈夫。







その願いは、なによりも力になるーーー















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