準備をする手を止め
真っ直ぐ葛葉を見つめる。
目が少し潤んでいる。
反抗したところで意味ない事は
彼自身が一番わかっているのだ。
ベッドに横になる葛葉は小さく震えていて
普段の葛葉とはまるで違った。
息が上がって来ているため
あまり我儘は聞いていられない。
素早く針を刺し固定する。
そしてすぐに酸素マスクへと
手を伸ばす。
苦しそうに呼吸をするが
すぐに治まった。
頭を撫でようとするが
プイっとそっぽを向かれてしまった。
無理やりにはなってしまったが
必要な事だったので仕方がない。
これで良くなってくれればいいが。
そんなことを思っていると
急いで画面に向かうと
人数は最初の比較とはならないほど
増えていた。
▶︎ 幸せすぎる……
▶︎ 体調良くなるといいな…
▶︎ お大事に!
▶︎ これを毎回相手しているとは
流石プロだな。
私に対する称賛も含まれていて
少し安心した。
▶︎ 次はいつですか?!
最後にそう言って
初配信を締め括った。
後日あの配信は葛葉ファンの間で
神回と呼ばれる事になった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。