※今回も背景が場面と合っておりません。ご了承ください。
当社比グロめです。
きんとき視点
今は白い部屋での待機時間だ。
先ほどNakamu、Broooock の対戦を見ていたから話は早い。シャケは冷静に準備運動をしている。
シャケガチでやるつもりじゃん。
とにかくどういう感覚なのかは分からないが、意識をしっかり保つって…うーん…えーっと…どういうことなんだろう…
そうして考えているうちに全身が眩い光に包まれ、反射的に目を閉じ、目を開けると夕焼けの光が輝く市街地にいた。
近くを見渡すと大型ショッピングモールらしきものがある。
これが仮想空間だと思うと思わず
という率直な感想が口から溢れた。
日本でもトップクラスに大きいであろうショッピングモールを中心に数多の高層ビルが立ち並んでいる。
そう言われた数秒後、
さっきのNakamu、Broooock と同じように天から武器が降ってくる。
でかい斧。やはり色は黒だ。
手に取ってみるとずっしりと重みを感じる。
金属でもプラスチックでもないような素材の斧の柄はまるで木を握っているような感覚だ。
しかし見た目としては真っ黒でデザイン性がない。
重心がしっかりとしており、素人でも使いやすいんだな、と分かる。
周りをまず確認するとあるのは、やはりビルであった。ビルはビルで沢山あるがチンピラどもが出てきそうなボロいビルばかりだ。
流石にそういう奴らに絡まれるのは御免である。
というわけでショッピングモールに向かうことにした。
シャケも俺も中距離武器を持っている。
加えてシャケは中+近なので間合いを詰められれば終わり。
というのは昔のことだ。
今の俺には血液解析がある。
近接であっても血で武器を作れば解決する。
しかしシャケの能力は深淵の刃。毒を入れられれば一貫の終わりだろう。
シャケも堕天使なので飛ぶことはできる。
だが空中戦となればアンドロイドが入っている俺の方が強い。
しかし施設の人にアンドロイドであることがバレればマズい。
従ってこっそり使う程度に留めることにした
翼を広げ飛ぶ訳だがとりあえず一番高いビルよりも高く飛んでステージの全貌を把握することにした。
飛んでいくとこのステージが割と特殊な構造をしていることがわかった。
今多分俺はステージの北側にいる。
そこから南側を見渡すと大型ショッピングモールを中心に北側にビル街、南側に住宅街という作りになっている。
大型ショッピングモールを見て思いついた。
夕日を見下ろすともうほとんど沈んでおり、数分後には夜の帳が下りるだろう。
この方法ができる。
そのためにまず、シャケをショッピングモールに誘い入れなければ行けなかった。
ということで今はとにかく空を飛びまくってシャケを探している。
もし見つかったらシャケがこちらを向いているのを確認して下降しながらショッピングモールに向かう。
そうしてショッピングモールに俺が入ったと思わせる。
実際入るんだけど。
ショッピングモールに入った場合、狭いので圧倒的にシャケのピストルと短剣が有利だ。
もし自分の作戦が通らなかった場合も想定し、事前に血液解析を発動させておくことにした。
斧の先に指先を近づけ指を滑らせる。
痛みが指先を走る。ピリッとした刺激にはやはり慣れない。
ツーと流れる鮮血にはどこか懐かしいものを感じる。
あまり思い出したくない、あの手術の記憶。
だからあの日記を読んだ頃から血液解析という自分の能力が嫌いになったんだ。
…そういう嫌な記憶は封印して、兎に角ショッピングモールに入ろう。
血液をメリケンサックのように固めて斧を持つ手に取り付けておいた。
アンドロイドの性質を使い、大型ショッピングモール全体の監視カメラなどを駆使し、この建物全体の地図を作る。
そうして、電気室を探す。
加えておそらくシャケはショッピングモールに入っている。
見つかって先手を取られるとなると勝率はほぼ0%に等しい。
一旦建物の外に出て、飛んで一階の電気室に入りなおす作戦だ。
先ほど入ってきた入り口から出て、羽を広げて飛んでいく。
そうして電気室に着いた。
外はすでに暗くなっていた。
そして慎重に電気室に入った。
電気室に足を踏み入れると、部屋はひんやりと冷たく感じる。
難しそうな配線の電気コードとたくさんのスイッチ。
こんなのアンドロイドを使えば一発だけどな…
敢えて使わないことにした。
シャケはまだショッピングモールにいる。
俺は作戦を決行する。
『カチッ』
俺は施設全体のブレーカーを落とした。
その瞬間、室内には黒が広がり、瞬く間に暗闇に包まれた。
そう、俺の作戦は
『ブレーカー落として自分を有利にしよう大作戦〜』
である。
吸血鬼は夜行性。従って暗闇でも目が効く。
堕天使は「元天使」という括りなので夜戦ができないことはないが吸血鬼よりは劣る。
そしてきっとシャケは電気室を目指して暗闇を進んでくるだろう。
そこを俺が叩く!
これを実行すべく、まずは電気室の外に出た。
吸血鬼が夜行性であることに加え、アンドロイドの補正で『暗視』を付ければ俺にとっては暗闇もプラス補正となる。
しかし暗闇を見渡してもなかなかシャケがいない。
こんなにいないものなのか。と思っていた。
刹那、パッと明かりがついた。
『暗視』の補正を入れていた俺は世界が光で包まれ、もはや明るすぎるくらいだった。
明るいところでの『暗視』は最早デバフになりかねない。
早く暗視の解除を試みるが、慣れていないせいでプログラムの場所がわからない。
あたふたしていた。プログラムの場所を探すのに2分くらいかかってようやく暗視を解除した。
なぜ電気が付いたのか。
ちょっと考えれば分かることだ。
『シャケが電気を付けた』
それに気づいた時にはすでに遅かった。
シャケがフロアのはるか上の吹き抜けー四階フロアから飛び降りてきた。
思わず目を見開くがこの一瞬でどうにかなるものではない。
そうシャケが告げれば瞬く間に全身に黒い刃が広がり腕、手の甲など、刃渡りは短いが、一撃でやられそうな、そんな刃が生えている。
せめて、ワンチャンスを賭けて、俺は事前に準備しておいた血液解析を発動させる。
俺は指先から血液を放出、凝縮し小刀のようなものを形成する…
血の刀を空に向かって掲げる。
『もしかしたら…防げるかもしれない』
やはりそんな期待も虚しく、小刀はばきりと容易に破壊された。
その血の小刀の破片の先には反転目のシャケがいた。
その目は冷酷で、どう見ても正気ではない。
須臾にして、俺の左腕には刃が突き刺さり、左腕の前腕部二分の一ほどがぶちっと千切れた。
とてつもなく痛い。やばいくらい痛い。
まじやばい。えぐいて。
でも今はそんなこと言ってられない。
ーまず目の前のシャケから逃げなければ。
そしてちぎれた腕から吹き出る鮮血を止めること、そして体の毒をどうにかして中和しなければならない。
俺は飛んで一目散に出口へ向かった。
振り返るとシャケはなぜか追って来なかった。
俺は少し離れた住宅街の普通の一軒家に侵入した。
外はすっかり暗くなっている。
訓練なので何をしても大丈夫だが、もしこの家の住人が帰ってきた場合、終わる。
しかしこの家には新聞が沢山溜まっていた。つまりしばらく家を空けている。まあ帰ってくることはそうそう無いだろう。
腕からはまだ血が垂れている。
血液。そう、血液である。
血を止めるのは血液内に含まれる血小板。
したがって俺は血を止められる。
そう俺が呟くと血がオブラートのように膜を作り、腕を修復…ではないが血を止めた。
新しい技。派生技。
と、考える暇もなく、
毒が体に回ってきたのである。
中和も血液関係でできると思った。
何度やってもできなかった。
そのうちに羽が動かなくなっていった。
空中戦はもうできない。
こうなったら毒が体に回りきる前に蹴りをつける。
俺は玄関の前に立ち、ドアを開けた。
しばらく走ってショッピングモールの手前ぐらいにきた時、シャケは道路の先に威風堂々と立っていた。
遠目から見てもわかる。反転目だった。
その目は静かに、そして冷酷にこちらを見つめている。
そして、
と何かを口にして、こちらへ走ってきた。
すかさず俺は斧を構えて前に走り出した。
今は片手しか使えないが、血液解析によって左手の代わりを形成し、斧を右手と左手の代わりで持っている。
大きく斧を振りかぶり、シャケ目掛けて振りかざす。
少し振りかざすのが早かったようで、若干かする程度にしか傷はつかなかった。
そう呟いたシャケはまた
至近距離で俺に刃を構え、振りかざしてきたのだ。
流石に避けようもなく、
残酷なことに刃は俺の脇腹に刺さった。
傷口からは血がどくどくと、絶え間なく流れ出てくる。
そうシャケがピストルを出した瞬間。
俺は叫んだ。
すると、脇腹から出る血はみるみる血の塊として空中に集まり始めた。
シャケは急いで脇腹から刃を抜いて俺から距離を取ろうとする。
俺は脇腹周辺の血を固め、固めた血で刃が抜けないようにした。
もちろんシャケの刃は体から生えているので体が拘束されたもの同然だ。
俺の脇腹から出た血で形成された血の塊。
その正体は『血の爆弾』。
出血量が多い時のみ使える必殺技だ。
血の塊はシャケの心臓ギリギリまで近づいた。
そして、
ばちゃっ。
血の塊が破裂する音が響き、血飛沫がこちらにも飛んできた。
シャケは後ろへ倒れた。
どうやら脇腹から刃は抜けたらしい。
シャケの心臓付近には爆発で身体の肉が抉れたような跡がある。なんとも生々しい。
顔を覗き込むと反転目ではなく、通常の緑の目に戻っている。
俺は安堵した。
そして、
またもや空間はぐにゃりと歪んだ。
いつの間にか部屋の中心に2人で立っていた。
シャケはすごく落ち込んでいる。
よっぽど悔しいのだろう。
きりやんとスマイルが入ってきた。
次回→戦闘訓練その③








![【🎤】悪魔と天使のふたりぐらし[完]](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/1d831c74403abfecbe0102e7e70b345e5b04d9a1/cover/01JHEVWAXVWBF3K8ZCZBJ673XM_resized_240x340.jpg)



編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!