近藤あかね(以下クソ女と呼ぶことにする)の場所が特定できたら、そこに突っ込んで1発だが、なかなかそうはいかない。
きっと今もどこかに身を潜めてる。
今すぐ、クソ女に殴りかかってやりてぇ。
俺の大切な妻を苦しませて、人を騙した罪は重いぞ。
逃げられると思うな。
忙しい出久にだって協力してもらってんだ。
俺だって、速攻クソ女の居場所を特定しねぇと。
不意に個性にかけられた、のようなことは極めて低いはずだ。
だってあの日、あなたは何も連絡手段を持っていなかったからだ。
普段通りなら忘れるはずない。
なにか訳があって置いて行ったはずだ。
……まさか、自分から個性をかけられに行ったのか?
そのまま俺らは塚内さんと電話を繋いだまま、地図などを広げてクソ女の居場所を詮索し始めた。
出久の言葉に、俺は思わず黙り込んでしまった。
あなたを狙っているならもう人々を襲う必要はない。
不謹慎だが、あなただけで収まれば他人に被害も及ばないし、特定に時間もかからないはずだ。
だから、俺らの時間を稼ぐためにわざわざ他人にも被害を及ぼしてんのか?
その言葉を聞いて、心臓が一気に高鳴った。
俺と出久は一斉に立ち上がり、スマホを囲んだ。
塚内さんの後ろでは、ほかの警察の人が走り回ってる音が聞こえてノイズが酷い。
塚内さんのその言葉に、俺らは固唾を呑んで次の言葉を待った。
……しかし、次第に電話のノイズは酷くなっていって。
大事な、大事な2個目の解除方法をまともに聞くことができず、そのまま回線の悪化により電話が切れてしまった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!