わたし、は、、
その場にいる全員が目を見開き、わたしの姉はなぜ、という視線をわたしに向け、わたしの妹は今にも泣きそうな顔をしている。
そんな問いかけ、答えなんか決まっている。
いつものように笑い、いや、いつもより華やかな、心のつっかえが取れたような笑顔を皆に向ける。
私を彼処から救ってくれたのは、ゾムさんだ。
私に居場所を与えてくれたのは、総統と、幹部の皆さんだ。
私はあの家に戻る必要は無い。
お姉ちゃんと妹、、マリアには申し訳ないけど、私の存在意義は、
ここにあるのだから。
これ以上、何を求めるというのか。
そんな贅沢、わたしには出来ない。
私は、
割れたステンドガラスの大きな窓から、ふわっ、とした、春風と、桜の花びらが部屋に入ってくる。
漆黒の髪がするりと落ち、真っ白な天使の様な髪になる。
風で髪が揺れる。
隠れている左眼からは、バーコードが落ちて、両目に、真紅の眼が現れる。
腕と脚の鎖は、じゃらっ、と音を立てて私から落ちる。
さっきは違ったであろう服は、ふわりと、レースのついた白い服に変わる。
そのまま、ゆっくり総統に近づく。
膝まずき、細く男らしい我が主の指へ口付けをし、誓う。
これが、私の人生の結末だ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。