人生初めての告白に、常時手が震える。
音に集中してしまって、ノイズのような音が大きくなってくる。
正直及川さんの顔は見たく無かったけれど、
見ないと返事が分からなかったから、前を向き続けた。
実際は10秒ほどだったのだろうが、とてつもなく長く感じる沈黙を、及川さんは破った。
及川「……本当に……」
及川「それでいいの?」
あなた「っ……?」
想像できなかった及川さんの言葉を理解はあまり出来なかったけど、
何か、懐に刺さった気がした。
不意を突かれた。
及川「勿論、俺にとっては嬉しいの限りだよ。でもさ、」
及川「飛雄は、もういいの?」
及川「…ごめんね、あなたちゃんの勝手だってことは分かってるよ。」
及川「でも、嬉しさより飛雄のことが先に来たんだ。」
及川「あんなに夢中だったのに……ありえないって思っちゃったんだ。」
及川「こんなの、言いたくないけど……」
及川「逃げてるんじゃないの、俺に。」
あなた「ぁ……」
その通り、かもしれません。
及川さんから向けられている好意を知っていたからこそ、
及川さんなら、という期待を持っていたのかもしれません。
及川さんになら匿ってもらえる、
無理をしてまで耐えた日常、大切な人とのいざこざ、
大怪我……は、
及川さんと恋人同士になれば、楽になる。
それを信じ続けて、無理矢理及川さんを好きになったのかもしれません。
今までの恩を無かったことにして、
自分勝手な私の醜さに、目を瞑ってきたのかもしれません。
''私は怪我をした人''
''私は可哀想な人''
なんて、最低な考えを自分の常識としていたのかもしれません。
世界で一番最低だ。
周りのことなんて考えてない、
怪我を理由にしてる、
そんな私が恋愛をしようだなんて、自己中だな……
及川「…………でもね、」
私は泣きそうになっていましたけど、そんな私を見てなにか思ったのか、
及川さんは再び喋り始めました。
及川「あなたちゃんが悪いだなんて少しも考えてない。」
及川「あなたちゃんに自虐をしてほしいなんて事も考えてない。」
及川「どれだけ中学生時代が苦しかったのかはさっき聞いたばっかり。」
及川「俺の言葉でその過去を思い出させちゃったなら、本当にごめん。」
及川「俺は、あなたが好き。」
及川「あなたちゃんに会って、別れて、再会して…」
及川「ずっと好きだった。」
及川「俺から言いたいくらいだよ。''付き合って''って。」
及川「でも俺はあなたを心配してるんだ。」
及川「あなた。……本当に、俺でいいの?」












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。