魔法少女は魔都ヨコハマで生きる。
「貴方だけは幸せになってね」
いつからか、それが彼女の口癖になっていた。
そしてある日、真っ白な、狐のような存在に出会った。
会ったばかりの第一声はこれだった。
「僕と契約して魔法少女になってよ!」
…何を言っているのか、さっぱり理解できなかった。
どうやら狐のような存在はキュウベェと言うらしく、魔法少女や魔女について教えてくれた。
そんなある日、彼女が死んだ。
原因不明で、体に傷一つなかったそうだ。
横たわって静かに眠る彼女を見て、目に付いたものがあった。
砕けたソウルジェム。
そういえば、と思って、私はキュウベェの元へと走った。
問いただしたら、キュウベェは悪びれもせずにこう言った。
「その通り、彼女はグリーフシードの奪い合いでソウルジェムが砕かれてしまったんだ。
ソウルジェムは魔法少女の本体…。彼女たちの魂がコンパクトになって持ち歩けるようになったと言えば分かりやすいかな?
それが砕けてしまえばそこでおしまいなんだ」
こいつの言っていることが理解できなくて、こいつが地球外生命体、人間とは感性が全く違うことを分からせられた。
私は言った、声は震えていた気がする。
「どうして、そんな重要なこと教えてくれなかったの」
また、悪びれもせず答えた。
「聞かれなかったからだよ。知らなくたって、何も不都合はないだろう?」
それを聞いた瞬間、乾いた笑いが溢れ、それ以上は何も話さず、家に帰った。
考える時間がほしくて。
彼女が亡くなって数週間が経った。
そして、私は今、キュウベェと向かい合っていた。
「まさか君が魔法少女になるだなんて思わなかったよ。
その祈りに君は自分の魂をかけられるのかい?
さぁ願ってご覧、その魂を犠牲にして、君は一体なんの願いを叶える?」
私は迷いなく、はっきりと言った。
「私は、貴方たちがいない世界で彼女と共に生きたい」
キュウベェは驚いているのか、驚いていないのか分からない声で言った。
「まさか、君は友人一人のために世界をも超える気なのかい?
…おめでとう。
君の祈りはエントロピーを凌駕した」
息苦しい感覚と、まばゆい光に包まれた私が、その時に見た光景は、白い悪魔がいつものようににっこりと、けれどどこか不気味に笑う姿だった。
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update 13時間前