第3話

2,まるで操り人形
89
2023/01/20 08:08
今日の口紅は…





夫のポケットの中に入っていた口紅を使った


誰が使ったのか分からない口紅を使うのは気持ち悪くて、表面は拭いてから使ったけど。

まぁ、「使った」というより、
葵
「使ってやった」の方が正しい、かな
 


間違えて口紅をポケットに入れてしまう。なんてことはそうそう無い。
葵
多分…だけど、夫の不倫相手が私に見つかるのをわかっていて、夫を取りたかったか、
葵
それとも、
葵
性格の悪い女だったら、私を夫と別れさせて夫を捨てるつもりだったのか…
葵
考えすぎ、かな
葵
でも、私と離婚させたかったのには変わりないよね


葵
私も離婚、したいよ
葵
でも、
葵
夫が怖くて仕方がない
葵
夫の前では「良い妻」を演じている。

葵
ドレスコードとして

葵
心にドレスを纏って
3年前…
葵
あの、雄太さん?
なんだ
葵
今、ちょっとお時間良いですか?
はぁ…
葵
すみません。
でも、今日話しておきたくて…
できるだけ簡潔にな
葵
は、はい
ドキドキドキドキ
葵
(や、ばい。心臓が、張り裂けそう)
葵
あの…私たち、今のままじゃ、ダメな気がするんです
どういうことだ
葵
私とは…距離を取った方がいいのではないでしょうか
あ‪”‬?
葵
すみません!!
で、距離を取るって、どんなことだ
葵
いえ、忘れてください
はぁ、
ドスドス
グイッ
ドン
葵
きゃっ!
言えよ。なぁ、
にやにや
葵
(怖い痛い怖い怖いどうしようどうしよう。私なにされるんだろう?!怖い、怖い、)
言えって!!!!!!!
葵
(これは…言わなければ言わないほど、イライラが溜まってくるかも。今、言っておいた方が、いいかな)


今思うと、この選択が間違っていたのかもしれない。
いや、あっていたのか…?
葵
離婚!


葵
……っあ、あの、り、離婚、した方が、良いんじゃないでしょうか
はぁ、
パッ
トストス
葵
(あれ、手、離してくれた…?)
葵
(いける…?!)
私が肩の力を抜いたとたん、のことだった
ドゴッッ!
葵
いっ…
葵
(な、に…?なにが起きたの?)
葵
(肩、殴られた…?)
なーに被害者ヅラしてんだよ。あ”?
舐めたこと言いやがってよぉ?!
葵
ひっ
誰のお陰で生活できてるか知ってるか?
ぁ”あ”?
葵
ごめんなさいごめんなさい…!!
俺はこんなおばさんを養ってやってんだよ
自覚しろ
葵
はいッ二度とこのような真似は致しません…!!
一回は許してやるよ。
俺は優しいからな
葵
ありがとうございます
い、いつも感謝しております
チッ
のたれタヒんどけそこでよぉ!!
ドスドスドス
葵
はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、
葵
ど、どうしよう。どうしよう。
葵
なんで、なんでっ、グスッグスッう、うぅ、
葵
もう、ダメ、なのかなぁ…ヘラ




この後、夫のモラハラは前よりも激しくなった。
葵
ご飯っ、出来ました。
あ?
……
葵
っ、
いらねーよ
葵
えっ
いらねーつってんだよこんな不味そうなもん!!
ドシャッ
葵
きゃっ!
あー、朝から気分悪りぃ、
出かてくる
葵
……
なに黙ってつったんてんだよ
いってらっしゃいの一言も言えねぇのか
葵
い、行ってらっしゃい
はぁ
ドスドス
ガチャッ
葵
……
葵
頑張って、作ったのになぁ
床に広がる、朝ごはんだったものを片付ける。

葵
はは
しだいに、私は、人形のように感情が無くなっていった。

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