第7話

🐼#提案
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2024/05/30 09:00

あなた
なんか、疲れちゃったから

そう呟いた彼女の目には、
俺以上に光がなかった。




やっぱり俺は浅はかだったのかもしれない、と思う。


それ程に彼女の瞳は喜怒哀楽を映しておらず、
あまりに退廃的な様相を呈していた。



俺が死のうとしていたのが馬鹿馬鹿しくなるぐらい、
彼女は俺以上に痛みを感じているように
見えてならなかった。


俺が高校生の時は、こんなのじゃなかった。

同級生と、メンバーと馬鹿騒ぎして
はしゃいで遊んで、たくさんの夢を抱えていた。


けれど、彼女にはそんな青春の雰囲気は微塵もなくて。


何が彼女をそうさせたのか。

......そして、俺はいつの間に
あの頃の感情を見失ってしまったのか。

あなた
どうしたの、殺さないの?

ふと考え込んでしまっていた俺に
彼女はそう声を掛ける。

🐼
……やっぱり、俺には殺せないかも

あなた
ふぅん、残念

彼女は残念そうにそう呟いた。


その表情からは、
家に帰りたい、友達と会いたい、といった
高校生らしい感情は少しも見受けられなかった。

🐼
……家とか、学校とかに行きたい理由はないの?

あなた
別に、友達も居ないし、家族も私に興味ないし

そのぶっきらぼうな言葉で理解した。


彼女は孤独なのだ。


彼女の心はきっと、
俺なんかとは比べ物にならないほど、
ずっと暗くて深い、深海みたいな場所に居る。




俺は、そんな彼女に
この短い時間で興味を持っていたのかもしれない。

或いは、彼女の昏い瞳に惹かれていたのか。

とにかく、俺は普通ならしないような
今思えば随分気の狂った発言をした。

🐼
じゃあさ、ここ住む?
🐼
俺と友達になろうよ

誘拐犯が何を言っているのだろうか、といった感じだが、
彼女はあっけなく首を縦に振った。

あなた
どーせどこに居ても楽しくないし、いいよ
あなた
友達、もしなれたら小学生以来だし

こうして、俺と彼女の
奇妙な共同生活は幕を開けた。

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