第2話

それぞれの心配事
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2022/03/04 07:00
そら
あなたちゃん、大丈夫…?
蒼は、しばらく放心していた私を心配する。
あなた
あぁ、……うん。……………蒼?
そら
ん?
あなた
本当に、蒼がライカくんなの…?
そら
うん、そうだよ
そう言って私の背中をさする蒼は、確かに蒼だった。
そら
…落ち着いた?
あなた
うん。だいぶ…でも
驚いた、なんて言葉で表せるほどのものじゃない
昨日までどこの誰かわからなかった推しが、ずっと目の前にいた人だったなんて
そら
内緒にしていて、ごめんね
あなた
蒼…
いつも通りになんて出来ない。
だって蒼は好きな人で推しなんだから、余計意識してしまう
あなた
(私、どうしたらいいんだろう…)
無意識の内に大きなため息が溢れた
蒼side
あなた
(ボー…)
そら
あなたちゃん、おーいっ?
ついさっき俺が歌い手、『ライカ』だってことを打ち明けた
ずっと秘密にしていたから、俺的には清々しさもある…んだけれど
そら
…なんでそんなに距離、取ってるの?
あなたちゃんはソファの隅の隅に座っていた
あなた
(ビクッ)
あなた
あ、いや…わざとじゃなくて……
と、困ったように苦笑いをする
そら
あなたちゃん、あのね
そら
俺は歌い手のライカでも、あなたちゃんの前では犬飼蒼だよ?
だから前のように笑いかけてほしい
その笑顔が俺にとっての元気の源。だから…!
あなた
蒼が蒼だってことは、わかってる
あなた
わかってるんだけど………怖いの
そら
……なにが?
教えてほしい。俺、なにかした?
あなたちゃんのためなら歌い手を辞めることだってしてみせる。だから…
あなた
そ、それはダメッ!!
そら
……え
あなた
…その、私が口出しとかしたらいけないってわかってるんだけど
あなた
蒼と別れなきゃいけないのが今、一番ツライの……
そら
…っ////
…かわいい。不意にそう思ってしまった
確かに関係が終わる可能性もあった。だから隠していた節もある。
でも、反応を見て、話して、確信した。
そら
うん、俺も。絶対に別れたくないし…てか、絶対に別れない。
あなた
…ほんと?
そら
俺が嘘ついたこと、ある?
あなた
……ある
そら
えっ、いつ!?
あなた
遅刻したり、なぜかデートの途中でいなくなったと思ったら帰ってたり…
そら
その時は生放送があったから…
あなた
そうだったんだ、納得。
あなた
(プイッ)
そら
ちょ、ごめんって!
埋め合せするから…ねっ?
あなた
結構前の話だけど、いいの?
そら
もちろん!
彼女のためだもん!!
うん。そうそう、この感じ…
何でもない、友達とするような会話でも、こんなに幸せになれる。
あなた
それにしても……
あなた
私は蒼の…ライカくんの彼女……////
そら
そうだけど、なに?
あなた
ううん、なんでもないっ
そら
(ホッ)
機嫌も治ったみたい…よかったぁ……
あなた
やっぱり私、蒼が好き
話してくれてありがとう!
そら
……あなたちゃんっ!?///
でも、まだまだ不意打ちには慣れません……

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