僕は君の、英雄になりたい。
君のためなら、なんだってするよ。
君をいじめるあいつも、君の悪口を言うあいつも。
全部、ぜーーーんぶ僕がやっつけてあげる。
だって、僕は君の英雄なんだから。
🐻『だから、ね……消えて。』
「嫌だっ、僕は何もしてない!!!!」
🐻『君があなたを誑かしたんだろう。』
🐻『お陰であなたに、変な感情をもたせやがって。』
「あなたは僕の事を好きと言ってくれたんだ!!」
🐻『そんなわけない。あなたが好きなのは……』
🐻『僕だけ、なんだから。』
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君は私の悪役。
生まれた時からずっと一緒だった。
幼なじみ、ってやつかな。
君は戦隊モノが大好きで、幼稚園や小学校では
いつも真似をしてよく先生に怒られてたね。
それが、歳が上がる事にエスカレートしていった。
中学生になったとき、君は私の隣の席の男の子を
急に殴りつけたよね。
先生に呼び出された時、君はこう言った。
🐻『あなたに、触ったから。』
たまたまその子の消しゴムが床に落ちてしまって、
それを拾ってあげた時に、少し手が触れただけ。
それを、ボムギュは見ていた。
あなたのお陰で、私は中学時代に友達は出来なかった。
できたとしても、あなたが睨みつけて、
私から遠ざけたりするから。
高校生になっても、君は変わらなかった。
私は気になる人ができて、ボムギュに隠れて
こっそり会っていた。
しかし、ある日、2人で会っているところを
見つかってしまった。
君は彼を見てすぐに殴り倒したよね。
『もうやめて!!彼は何も悪くないんだから!!』
🐻『悪いでしょ。あなたをこうやって誘惑して。』
ガシガシと尚も倒れた彼を踏みつける。
🐻『悪役は英雄がやっつけるんだ。そうでしょ?』
🐻『そして、英雄は守ったヒロインと結ばれるんだ。』
『違う!私は貴方となんか結ばれたくない!』
🐻『……………は、?』
『あなたはヒーローなんかじゃない……』
『私にとって、最低最悪の悪役なんだから!!!!』
🐻『……………そうか。』
『………えっ、?』
🐻『本当の悪役は、お前だったんだな。』
『な、何、を…………』
ゆらり…と私の方に近付いてくる。
🐻『お前のせいで。お前がいるから。』
『わ、わたしの、………』
🐻『お前のために、あのうるさい男も、あの陰口を言う女も、全部やっつけてやったのに……』
『わ、私の、ために、……………』
私のため。私のお陰。私のせい。
私が、いるから。このひとは。
私は君の悪役。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!