第2話

Episode1
179
2025/10/02 09:00 更新
莉犬
殺したのはさ
莉犬
⋯隣の席の、いつも虐めてくるアイツ

静かに、言葉を吐く莉犬。

僕はやっぱり、何も言えなかった。 



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ーあのあと、玄関で立ち尽くす莉犬の手を引っ張って無理やり中に入れた。

幸い、親は家にいない。

何も喋らない莉犬にシャワーを浴びさせ、着替えを貸して部屋に呼ぶ。

僕から聞くのも何か違う気がして、僕のベッドに座って俯いている莉犬が喋るのを待つ。


ー突然、莉犬が話し始めて。

莉犬が殺した、相手を知った。



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莉犬
なんかさ⋯もう、嫌になっちゃって⋯

少し笑いを含ませて、震える声で莉犬が呟く。
莉犬
毎日毎日、暴言吐かれて。
毎日毎日、典型的なしょうもないイジメにあって。
もう⋯もう、嫌なんだよ。

僕は黙って莉犬の隣に座り、背中をそっと撫でた。

僕だって、もちろん知っていた。

とっくに、気づいていた。

莉犬が虐められていること。

少しずつ、莉犬が笑わなくなっていったこと。

このままだと、莉犬が、壊れてしまうこと。

それなのに、僕は何もしてあげられなかったこと。
莉犬
俺が⋯俺じゃなくなってくみたいで。
るぅと
⋯うん
莉犬
⋯っだから、もう、いいやって⋯
るぅと
うん⋯
莉犬
なんか⋯どうでもよくなって⋯
るぅと
⋯っうん⋯
莉犬
⋯肩、突き飛ばして。
莉犬
ほんとに、何も考えてなくて⋯
るぅと
うん⋯うん⋯っ
莉犬
頭真っ白で⋯
もう嫌だ、嫌だ、嫌だ⋯って
莉犬
階段、から⋯突き落として

⋯それで、⋯打ち所が、悪かったんだね⋯
るぅと
っ莉犬⋯!

僕は耐えられなくなって、莉犬の肩を掴んで僕のほうを向かせた。

莉犬の顔は涙と恐怖でぐちゃぐちゃだった。
るぅと
もう⋯言わなくていいよ。
るぅと
僕は、莉犬の味方だよ⋯
莉犬
っるぅ、ちゃっ⋯俺⋯っ
莉犬
もう⋯ここにはいられないから⋯。
るぅちゃんにも、迷惑かけちゃうから⋯っ
莉犬
だから
莉犬
どっか、遠いとこで死んでくるね。

莉犬は泣いているはずなのに、言葉には強さがこもっていた。

きっと、クラスメイトを殺した昨日から今日まで、ずっと考えていたんだろうな、と思う。

それが、辛かった。

どんな気持ちだったんだろうって。

考えるだけで、苦しくなる。


だから、一人じゃないよって伝えたくて。  

こんな苦しみを、まだ子供の僕たちが背負うには重すぎるから。

だから、せめて2人で。
るぅと
莉犬
莉犬
⋯ぇ


ぎゅうって、強く莉犬を抱きしめた。

疑ってもいなかった。

ただ、莉犬に全部背負わせるわけにはいかないから。

莉犬を一人になんか、させない。
るぅと
じゃあさ⋯

できるだけ、軽くなるように言う。
るぅと
僕も、連れてって

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