第82話

第4章第3話「白夜叉」
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2025/12/28 12:00 更新
四季礼花
夢に鬼が出てくる異変?それは一体
どういうものなんですか?
桐水千代子
全ての始まりは1ヶ月ほど前でした
桐水千代子
1人の男性がある晩、いつものように
寝ていたそうです
桐水千代子
ですがその日見た夢は普段のものとは
違う、薄暗く不気味な森の中でその男性が1人で立っているというものでした
桐水千代子
そして少しすると、どこからか異様な
気配を感じ取り、後ろを振り向くと
桐水千代子
"上下白い袴姿をし、恐ろしい形相を
した夜叉"が刀を持って立っていた
そうです
桐水千代子
それを見た男性はとてつもない恐怖に
包まれ、すぐに逃げたそうですが、
夜叉は目にも止まらなぬ速さ
で追いかけ、追いつく度に男性の体を
一箇所ずつ斬りつけていきました
桐水千代子
それに加えて、やっと巻いたかと思えば今度は無数の怪異に囲まれ、この世の
ものとは思えない程の痛みを味わい
ながら傷を負う。その繰り返しでした
桐水千代子
それが一体何度続いたのか、
本人ですら分からなくなり始めた頃、
やっと目を覚ましたそうです
桐水千代子
しかし体中から痛みを感じ、その場所を見てみると、鬼達によってつけられた
場所と全く同じ所に傷ができていました
桐水千代子
その日を境に、夜になると毎晩村の
誰かが必ず夢の中で鬼や多くの化け物に襲われるようになり、挙句の果てには
命を落とす者まで出てきてしまうようになってしまったんです
四季優夜
(かなり恐ろしい話だな。眠ったら鬼に襲われて、しかも場合によっては
現実世界でもシんでるかもしれない
だなんて…)
四季優夜
(夢に干渉してくる怪異自体は昔から
複数確認されている。最近だと3chに
出てくる「猿夢」「ばりばり」等が
これに当てはまる)
四季優夜
(でもそれらは大抵無差別に
起こるもの。なのに今回は特定の
決まった地域でのみ発生している。
少なくとも俺が知る限りそんな事例は
聞いた事が無い、そこが気になるな)
四季礼花
成程ね、でもそれだったら
防衛軍に頼んだ方が
良かったんじゃないんですか?
桐水千代子
最初は私達もそう考えて、宝華さんが
所属されている第3部隊の方々に調査をお願いしようとしました
桐水千代子
ですが昨年の世界テロ、そしてつい最近にも全部隊が対応すべき案件が出てきたようで、いつ調べ始めれるか
分からないと…
四季礼花
そうだったのですか…
四季礼花
(確かに凍夜も「しばらく帰れそうに
ない」って言ってたし、そう考えたら
宝華達も手一杯の筈よね…)
四季優夜
失礼ですが、村から一時的に避難する事は出来ないのですか?
桐水千代子
実は村でもその案が上がって私や夫が
何人かの村の者達と一緒に複数の近隣の町や村にお願いをかけてみたのですが、宿泊施設の不足や金銭的な問題
桐水千代子
さらには異変に巻き込まれる事を恐れた地元住民の反対運動によって今の段階では到底実現できそうにないのです
四季優夜
…そうですか
四季優夜
(やっぱり異変の原因をすぐに叩くしか打つ手は無いのか)
四季礼花
そういえばですが千代子さん、結界の方はどうなっているのですか?
桐水千代子
それにつきましては当初の予定では
各地方にいらっしゃった天野江の方々をお呼びして管理して頂こうと思って
おりました。ですがそれも悪信教に
よって頓挫、現在は村の神職の者が
行っております
四季礼花
そうでしたか…なら効果は最後の儀式
から20年経った今でも続いていると
見てもよろしいですね
桐水千代子
ええ、恐らくは…
四季優夜
母さん、結界って何の事なの?
四季礼花
さっき桐水さんから桐河村についての
情報を聞いたわよね
四季優夜
うん、確か「天照家や天野江家に武器や家具とかを長年納めてきた」って言ってたよね
四季礼花
ええ、そこがかなり重要なポイント
なんだけど、それが理由で桐河村は
天照家やその傘下ととても仲が
良くてね。特に天野江は独自の交流が
盛んに行われる程だったのよ
四季礼花
それで日々のお礼として天照家と傘下で1番仲が良かった天野江一族が
100年以上前に村への加護を与える事を決めてね。それが村を守る為の結界と、それを発動させる社なの
四季優夜
ちなみその結界の強度って
どのくらいなの?
四季礼花
かなりの強さよ。少なくともそこら辺の野良怪異では絶対に入り込めない程の
代物で、きちんと管理していれば
半永久的に効果が続く。そもそも実質的な社の管理を任されていたのが元々は
私達武闘派の天野江だったからね、
効能については私が保証するわ
桐水千代子
礼花さんの仰る通りです
桐水千代子
あれは天照大御神様のお力が宿っているだけあって並大抵の怪異では破れない
代物、実際今回の異変が起きるまでの
長い間、私達を数多の厄災から
守ってくださいました
四季優夜
でもなら何で異変が起きてるの?
四季優夜
天照家や天野江家の力が凄まじいもの
である事は父さんやお祖父ちゃん達から聞かされているから疑っている訳では
ないよ。でもだからこそ、何故そんな
強力な加護で守られた村の中で異変が
起きているのか
ますます分からなくなるんだ
四季礼花
そうなのよね…正直私でも検討が
つかないのよ。雪花みたいに能力を
無効化できる能力者なら出来るのかもと一瞬考えたけど、それだけであの結界を突破できるとは考えずらいのよね…
四季優夜
(これは一刻を争う事案だな。
何とかして原因を突き止めないと、
多くの人達が犠牲になる)
四季優夜
(それに…よくは分からないけど今回の異変、どこか裏がありそうな感じが
するんだよな)
桐水千代子
なら申し訳ありませんが、この異変、「白夜叉異変」の調査を
お願いできませんか?
桐水千代子
正直、もう私達の手で何とか出来る問題ではないと感じるんです
桐水千代子
それこそ、礼花さんや防衛軍の方
じゃないと解決できないような気がしてならなくて…
四季礼花
分かりました、規模の大きさから見て
少なく見積もっても丙級かそれ以上。
私か宝華のどちらかが行かなければ
収りそうにない状況ですし、防衛軍が
無理なら私が行きます
四季優夜
(俺も一緒に行って力になりたい。けどこの感じ…神社の事を母さんから任されそうなんだよな)
四季優夜
(それに神社を無人にするという事は町の人達に迷惑をかける事になる。なら俺は一体どっちを選ぶべきなんだ…)
四季礼花
ちなみに村へはいつお戻りになる
予定なのですか?
桐水千代子
明日の朝にはここを出発しようかと
考えています
四季優夜
(…決めた、俺は……)
四季礼花
なら私と一緒に出ましょう。数日は予定が入っていませんし、神社を抜けても
問題ありません
桐水千代子
お願いします
四季礼花
優夜、神社をお願いできる?あなたに
なら基本的な事は任せられるか…
四季優夜
"ごめんなさい母さん、どうか俺も
桐河村に連れて行かせてください"

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