彼は、潤宮 橙助。
と彼は言った。
みんなからはうるみやとか、うるみゃーと呼ばれてるらしい。
ニックネームみたいなもんやから、そっちで呼んで。と
少し照れたように言われたので、俺もうるみや、と呼ぶことにした。
茶髪に白と黒のメッシュのふさふさな、ちょっと癖っ毛な髪に、
いつか見た夕焼けのような瞳。いつ見てもニコニコしていて、
少し細める目は、まるで猫みたいだった。
………………………、そして、
ものすごく爆音で笑う人だった。
雨の中の教室いっぱいにうるみやの笑い声が響いた。
めっちゃ目立つんだけど……。やだ……。
…………、っていうか、俺この人と初対面だよね?!
なんか勢いでお弁当とかちゃっかり一緒に食べちゃってるけど…。
今日の俺はちゃんと喋れていただろうか。
でも、それはいつもの緊張ではない気がした。
教室の前の扉から、誰かがうるみやを呼んだ。
賑やかだった教室が一気に静まり返った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。