第68話

59話 友達
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2023/05/12 09:25
「ジーニストも!爆豪先輩も!ご迷惑かけて申し訳ございません!!」
1晩で個性が解けた楽は朝早くから仕事に取り掛かっている2人に土下座をした。
「別に謝ることない。君はちゃんとヒーローとしての責務を全うした」
「ま、そーゆーこった。テメェが無駄に責任感じて考える必要はねェ」
「け、けど…」
実はと言うと恐怖に怯えていた時の記憶は曖昧である。
昨日あったことは覚えているが夢のようにフワフワとしていて、ただ辛かったということだけが体の中に残っていた。
「俺、いっぱい先輩にワガママ言っちゃったから。先輩そういうの嫌だと思うし、いい気しなかったと思うから」
「恋人の特権だろソレ。惚れた弱みつーか…恋人のワガママが嫌な奴はいねェと思うぞ」
爆豪は当然といった顔で楽を見る。
そして普段よりも怒った声で続けて言った。
「それとな、1人で背負い込むじゃねェ。テメェが俺の荷物背負いたいって思ってんのと同じで、俺もテメェの悩みを聞きたい。しかも今回は危険なことのようだしな….。なんか疑うとかそんなんじゃなくても溜まってんだったらゲロっちまえ。言って全部楽になるなんて甘いことじゃないのは分かるが、俺はテメェと対等でいてぇから苦しいとかテメェが重いと思うもんなら半分くらいは背負う」
怒っている。
それなのに自分の1番弱い部分を包み込むような言葉にホッとした。
「俺と補習の光坂って女子の噂は」






光坂の噂を話終えると爆豪は顔を顰める。
「その殴ったとかいう噂が本当か分かんねぇのか?そこまでの噂があんなら殴られた奴が黙っちゃいねェし、すぐに本当かは分かるだろ」
「コソコソ友達疑うようなマネしたくなくて」
「その考えがテメェを引っ張ってんだよ。疑うんじゃなくて信じて調べろ。無闇矢鱈に調べんのがイイことなんて誰も思ってねェけど、ダチの疑惑晴らすのが今のテメェにとって大事なことじゃねェのか」
もう気に止めて警戒するだけでは、ことは収まらない。
光坂が自分のことを嗅ぎ回っているのを知った今、楽1人が背負える問題では無くなっていた。
「…分かった。俺も光坂の情報収集してみる」

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