第42話

塞がれた口
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2026/06/29 09:00 更新
洞窟の中には、静かな寝息だけが響いていた。

焚き火はほとんど消えかけていて、赤い火種がかすかに揺れている。

私は毛布代わりの上着にくるまりながら眠っていた。

疲労が限界だったのだろう。

昨日の逃走と足の痛みで、目を開ける気力すらないほど深く眠っていた。

――その時。

誰かの手が私の口を塞いだ。
夜凪 あなた
……っ?!
反射的に目を開く。

けれど声は出ない。

男だった。

見覚えのない男が二人。

一人が私の口を押さえ、もう一人が身体を抱え上げる。
夜凪 あなた
んっ!!!!!
静かにしろっ!
轟 焦凍
……!
轟 焦凍
夜凪!!!
切島 鋭児郎
?!
芦戸 三奈
え?!
バレた!逃げんぞ!


男たちは私を抱えたまま森へ駆け出す。

轟くんもすぐに追いかけた。


轟 焦凍
待てっ!!!!
轟くんは全速力で森を駆ける。

すぐそこにいる。

追いつける。

そう思った瞬間。

男の一人が振り返った。
来させるかよ!
大きな岩を片手で放り投げる。

遠くの木にぶつかり、大木が大きく揺れた。

砂煙が舞うと、みんなの姿が見えなくなってしまった。

































轟 焦凍
チッ!!!!
轟 焦凍
どこ行った!
切島 鋭児郎
クソ!砂煙で見えねぇ
芦戸 三奈
あなたー!!!!




森は静けさを取り戻して行った





















男たちに運ばれながら、私は必死に状況を整理していた。

逃げなきゃ。

助けを呼ばなきゃ。

そう思うのに、口を塞がれていて声が出せない。

個性も出せず、足も痛む。

まともに抵抗できない自分が悔しかった。

そんな中、男たちの会話が耳に入る。
お前ら個性が使えなくて焦っただろ
その言葉で確信した。

やっぱり個性が出なかったのはこいつらのせいだ。

男は得意げに続ける
俺の個性は”封鎖”だ。見えてる相手の個性を封じることができる
私は目を見開いた。

まるで相澤先生みたいな個性。

だから誰も個性を使えなかったんだ。
もう1人の男はパワー系

大きな岩を軽々持っていた
お前も逃げようなんて考えるなよ
つぅか、その足じゃ何もできねぇがな
この雄英生を売れば俺ら金持ちだ!
雄英生なら高く売れると思うぜ!


私は視線を逸らさなかった。

怖い。

正直、すごく怖い。

でも。

――みんなが来る。

そんな根拠なんてないのに、それでもそう思えた。

A組のみんななら。

轟くんなら、緑谷くんなら…

そして――

爆豪くんなら。

絶対に諦めない。

男たちはそんな私の表情に気づいていないのか、気づいていても気にしていないのか、そのまま森の奥へ進んでいく。

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